不動岳南尾根〜鳥帽子岳
2024年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバーKR(記録)、DS
期間:2025年3月8日〜10日


不動岳南尾根の歴史
1968年12月〜1月、東京薪水岳友会の記録(岳人271号320号)がある。高瀬ダムができる前の記録。大岩と上部雪壁でロープを固定している。当時は尾根下部には測量の跡があったらしい。
2012年5月に昭和山岳会(久留島、牛山、西野、御手洗)で七倉岳南尾根の偵察ルートとして登った(岳人790号)。その時はダムからの往復で下山は途中から沢筋を下降。
ルート選定
10月に鳥帽子岳〜船窪岳を歩き稜線上より尾根の偵察及びアプローチの偵察を行う。未知のルートに行くか知っている南尾根かで迷うが、10年間のブランクによる不安は大きく残雪期に経験済みの南尾根にきめる。

不動岳南尾根について
この周辺の尾根の中では藪の最も薄い尾根。
登り安く、展望も終始良い(常に槍北鎌をバックに登る。左は裏銀座、右は餓鬼〜唐沢岳)。
核心は2400m〜2450mの急登。GWは木登り、3月は雪壁。雪質、メンバーによってロープが必要。
尾根自体は条件よければ日帰り可能で、鳥帽子岳や七倉岳へ縦走すると2泊3日程度。
このエリアでは一番入門的で快適なおすすめの尾根。

ルート詳細
取付は高瀬ダムキャンプ場小屋向かって右の青テープより。左上して尾根へ(1380m)。地形図上には岩場マークがあるので2012年の時は迂回したが、秋の偵察時に岩などなく真っ直ぐ取り付いた方が早いことが判明した。3月は初めからアイゼン、5月は雪なし。
1400m〜1600m、尾根上は藪があるが、左右のルンゼをうまく拾っていくとあまり藪こぎしないですむ。特に2025年は雪が多かったので、藪こぎはほぼ0だった。2012年GWは多少藪をこいでいる。
1685m大岩は基部を左から周りこむ。今回はこの上で雪の踏み抜きが増え、ワカンをつけた。
2390m、雪壁手前にテントをはる。テント場はここまでたくさんある。夜中に結構な量の雪が降った。
2400m〜2450m、核心の雪壁。ワカンなし、アイゼンでのスタート。2012年5月は正面を木登りしたが、今回は雪が木に不安定に乗っているので、右に回りこんで、急な雪壁を登った。アックスは一本、ロープなし。雪壁自体久しぶりな上に、硬い雪面の上にふわふわの新雪がのっていて、やや恐かった。今後は、躊躇わずにロープをだそう。
南尾根頭(2570m)でガスがあがり快晴となる。不動岳山頂は北へ空身で5分。山頂の道標は最高地点より先、少しだけ降りた所に設置されている。山頂にくると、剣や針ノ木もよく見える。360度の大展望。
南沢乗越への下りは夏道はトラバース気味だが、冬は真っ直ぐおりる。
南沢乗越手前2490m小ピーク付近と鳥帽子岳手前夏に池がある所は雪が深く、一時的にワカンをつけた。
鳥帽子岳へはほぼ夏道のあるあたりをたどった。分岐からの往復は鎖が完全に埋まっているため夏道を離れ、山頂から東にのびる尾根を一度北に回りこみ、最後はロープ30mだして雪壁を登り、北側から山頂にたった。下りは懸垂下降15m。
ブナ立尾根は下降点に大きな柱が建っている(2551m)。権田落シまで、赤布がベタうちされておりわかりやすいが、その先のトラバース道は雪に埋もれており少し迷う(赤布は所々ある)。最後の鎖や梯子は大部分雪に埋まっていて、最後は懸垂下降で沢にでた。濁沢の橋も見当たらず徒渉したが流れは少なく足を少し濡らす程度。

行動時間
3/8、曇り時々晴れ
5:20、葛温泉ゲート
5:55、七倉山荘
6:50、高瀬ダム下
7:15、高瀬ダム上
8:00、不動沢の小屋
10:05、1685m
11:45、2000m
13:20、2250m
13:50、2293m
14:25、2380m

3/9、晴れ
6:45、出発
7:35-8:30、不動岳
10:35-10:50、南沢岳
12:30-13:00、鳥帽子岳分岐付近
13:45-14:00、烏帽子岳
14:20-14:30、鳥帽子岳分岐付近
14:50、ニセ烏帽子岳
15:20、烏帽子小屋冬期小屋C2

3/10、晴れ
6:45、出発
7:45、2208m三角点
8:30、1880m
10:00、ブナ立尾根登山口
10:30、不動沢吊橋
13:10、葛温泉ゲート