戸隠山P5尾根
2023年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバーDS、YK
日程:2024年2月11日〜12日(月)


コースタイム:
品沢高原(4:50)1720m C1
C1(3:40)P3(1:25)C1(1:30)品沢高原

2/10(土)
23:30、長野駅集合
0:20、中社駐車場
車中泊。暖房トイレ付き。小雪舞う。

2/11(日)晴れ一時雪
6:00、起床
6:30、駐車場発
7:30、品沢高原
車道は除雪されていた。車道終点ゲートの少し手前の広いスペースに駐車。自分達含め車4台あった。
林道には先行トレース、途中でP3尾根へ分かれるトレースもあり。昨晩の降雪で5~10cm程度新雪が積もったようだ。
8:00-8:10、堤防
林道にはP6尾根に向かうトレースが続いていた。
わかんを履く。P5尾根に向かう昨日のトレースが薄っすら残っていた。
8:35、1.2峰コル
沢筋を進み左岸側の小尾根を登ってラッセルしながらコルへ。
コルから尾根上を進むと岩壁に進路を遮られたため右側から基部の斜面を巻いて岩壁の切れ間に進む。
8:50-9:05、1410m
ここまでは順調に来れた。この先から急になるためアイゼンに履き替える。
再び尾根が岩壁に遮られる。トレースが左右二手に分かれている。左の狭い岩の基部を上がり草付きルンゼを登るか、右の斜面をトラバースして雪壁を登るか。
最初左を見たが岩陰で先が見えず足元が切れていてロープが必要そうに感じたので右側に進んで様子を見てみることにした。右へ進むと尾根に上がれそうな雪壁が左手にあるが、灌木がなく結構急に見え雪崩そうな斜面だったためその先のブッシュ混じりの雪壁を目指して2P登ってみた。しかし下からは行けそうに見えたても2段登って間近に行くと傾斜もありランナウト必至の泥壁でだいぶ難しそう。陽がさし始めてどんどん雪が溶けてきた。大人しく懸垂2回で振り出しに戻り最初の左ルートを試すことにした。
11:30、1410m復帰
2時間半もタイムロスしてしまった。
左ルートは空身でロープを引いて登ってみると思ったより易しくあっさり登れてしまった。確実にこのラインが正解だろう。フィックスを張って通過。
12:45-13:00、1470m
テントスペースあり。狭いが数人用なら確保できそう。
13:30、1600m
テントスペースあり。全体を通してなかなか平坦なポイントがないがここはまだ樹林帯で比較的良いスペース。
この先が初日の核心。急な雪壁50m1P。灌木の一切無い急でまっさらな雪面。支点はスノーバーのみ。スタンディングアックスのビレイポイントも不安定なのでトップは絶対落ちられない。胸を越えるラッセルをしながら慎重にダブルアックスで一手一手進む。雪質が固く凍っているところもあればスカスカなところもあり緊張した。
14:50-14:55、1660m
雪壁を登りきっても支点が一切ない。スタンディングアックスビレイ。
ここの雪壁は降りるのも間違いなく苦労する。頑張って1?2m掘れば何か使える灌木が出てくるのだろうか。他の記録では土嚢袋を使った懸垂下降をしたりしているようだ。
ロープをたたみ、また雪壁と木登りの急登で予定のテン場まで。途中の大木に緑の残置スリング1個あり。昨日から入山していた茅ヶ崎山岳会の3人組とすれ違う。
15:30、1720m C1
本日の幕営予定地。整地済。戸隠エリアが一望できて明日の核心部の岩壁やP3尾根がよく見える。
近年ツエルト(クロスオーバードーム)をオールシーズン使用してきたが、先週火を焚いてもあまりに寒いということに気付き、多少重いが試しにテントを持参した。当然なんだろうがやはり暖かかった。ツエルトとの違いを肌で感じた。軽量テントを買うことを決めた。
19:30、就寝

2/12(月)、曇のち晴れ
4:30、起床
深夜から明け方にかけて数cm降雪。トレースは薄っすら残っていた。
6:40、C1
一段上がった1750m付近にもテントスペースあり。
7:20、右の雪壁は雪崩そうだったため左から岩の基部を巻く。
1P目、行ってみないと先が見えなくてわからなかったが簡単だった。
2P目、ルンゼ状の草付きの壁を登り岩の基部まで。
3P目、よく写真で見るホイップクリームが乗ったようなピークの巻き。最初の岩登り5mの灌木を越えるまでが緊張した。遠目には雪面トラバースして簡単かと思ったが雪を払うとすぐ下は岩でホールドが乏しい。出だしの岩部分を斜上気味に登って灌木を掴み、灌木頼りのバランス悪い体勢で越える。
超えた先は両側切れた短いナイフリッジ。超えた先に残置の懸垂スリングがあり。下りはここからは懸垂。ビレイポイントからはとても良い写真が撮れた。
8:30、本日の第1核心を越えてコンテで進む。
少し歩くとまた尾根が行き詰まり第2核心。
ルートは左右の選択になる。右側は途中までは簡単だがだんだん傾斜が増し先が良く見えない。なんとなく悪そうな気配。左側も悪そうだがよく見ると鉄紐が上から垂れ下がっている。恐らく正規ルートなのだろう。手がない上に足元も数百m切れ落ちておりかなり怖い。足場は薄っすら雪の付いた草付き。雪がないとだいぶ苦労する気がする。トラバースしきったらあとは急な斜面を右上してクリア。
9:30、1870m
核心部突発。あとは易しい雪稜のビクトリーロード。しかし残念ながらガスってきてしまい展望がない。コンテで進む。
10:20-10:35、P5
比較的順調に登頂。予報では午後から晴れだが流石に待てないのでタッチだけして風のないところまで下って一休み。
トラバースした箇所は2つとも下を向いて左側から懸垂。
第2核心は鉄紐があった木に向かって懸垂20m。
第1核心は残置支点からルンゼ内2回40m懸垂。雪崩そうな雪壁に合流。
この先はC1まで歩いて簡単に下る。
12:00-12:30、C1
雪崩のリスクを回避するラインを選びつつ最悪ヤバそうなら尾根に登り返すことも視野に入れつつ、テン場からそのまま大沢下降することにした。
13:00、1380m
滝が出てるところで右岸を懸垂1回。
13:30-13:45、堤防
予報通り天気が良い。本院岳からP5まで各尾根が見渡せる。
戸隠連峰を振り返りながら林道を進む。漸く戸隠の各尾根の位置関係が分かった。P1.3.5尾根が顕著だがP2.4は判別しづらい。
14:15、駐車場
車は全て居なくなっていた。天気が良くて車道の雪も殆ど溶けていた。
15:00、うずら屋
閉店ギリギリで滑り込みセーフ。2週連続うずら屋敗退せず済んだ。風呂は戸隠神告げ温泉。

戸隠の雪稜は最近の気候だと1月後半?2月前半がベストだろう。2週連続良い時期に完登できて良かった。次なる目標は本院岳ダイレクト尾根。戸隠~高妻山の縦走も気持ち良さそうだったのでいつか歩いてみたい。