赤沢山〜白毛門
2012年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバー:西野(記録)、錦織、小野寺、田中、御手洗
日程:2013年2月9〜10日

2月9日
土合山の家9:10…赤沢山13:40…1391mピーク先15:30(幕営)
2月10日
幕営地6:30…1482mピーク7:20…1495mピーク8:20…白毛門11:00…白毛門登山口15:00…土合駅15:10

赤沢山から稜線を歩き白毛門につなげる周回ルート。もともとは一昨年の冬に佐野さんが計画され、錦織さんと西野で山行を実施したが、人数の少なさや雪の多さで、赤沢山往復で終わっている。その先の景色が見たい、気持ちよい稜線歩きを楽しみたいと思い、再度計画をした。

2月9日 雪
前夜、水上駅に集合し、すっかり「常宿」となった駅入口で軽く宴会をして就寝。
翌朝は6時頃に起床、暖かい待合室で準備をして出発…と思ったら、タクシーがすべて出払っており、8時過ぎまで来ないという。だったらバスでも同じだということで、8:25発谷川岳ロープウェイ行きのバスで土合駅前まで行く。ここから土合山の家までは徒歩5分ほど。
 土合山の家の駐車場の脇から林道に入る。駐車場でスノーシューをつけてスタート。雪は思ったほど多くなく、膝上ぐらいのラッセルだ。林道を進み、一本目の沢を渡って斜面に取り付くが、いきなりかなりの急斜面で息が上がる。急斜面でのスノーシュー歩行がなかなかうまくいかず、進まない。数日前に気温が高かったときに溶けて固まったらしい雪の上に、その後降ったらしい雪が数十センチ積もっていて、足を置いてもずるずる滑り落ちてしまうのだ。それでもなんとか標高を上げていき、尾根に乗ると斜面がかなり快適になってきた。幸いなことに先行者のトレースはない。自分たちで道で作る楽しさを噛み締めながら、交替でラッセルをしていく。
 非常に快調なペースで進み、赤沢山に到着したのは13時40分頃。本来はここでテント泊の予定であったが、予想以上に行程が順調だったこと、明日は天気がよいが翌日はあまりよくなさそうであることなどを考慮し、もう少し先に進むことにする。幸い赤沢山から先の稜線にも幕営できるポイントがいくつかありそうだった。
 ここからは非常に快適な稜線歩き。緩やかなアップダウンを繰り返していく。右側に大きな雪庇が出ているので、左側の樹林の際を慎重に歩いていく。豪快な景色、心地よいラッセル、嬉しくて奇声を発しながら歩いてしまう。1391mピークを越えて少し下ったところに、広い幕営適地があった。すばやく整地をし、テントを張って中にもぐりこみ、宴会、就寝。

2月10日 晴れ
4時起床、6時30分ごろ出発。天気は非常によく、前日はガスに隠れて見えなかった周囲の山々がきれいに見渡せている。昨日に引き続き心地よい新雪ラッセル。青空と、周囲の山々の眺めが昨日とは全然違い、ますますテンションがあがる。アップダウンを繰り返しながら、稜線を進んでいく。周りの山々も見えているので、地形図をこまめに取り出し、ルートの確認をしながら歩く。1482mピークの先は少し分かりづらく、地形を確認しながら慎重に進んだ。
1495mピークから進路は西へ。ピークの少し手前から尾根を下っていく。150mぐらい一気に下り、広いコルに出る。当初2泊目の幕営地と考えていた場所だが、聞いていたとおりの適地だった。ここから1526mピークに向けて、急登が続く。150m以上の登り返しだ。ちょっとうんざりしながら、でもここを過ぎればもうひどい急登はないのだと言い聞かせながら、ラッセルを交替し、ひたすら足を動かす。ピークまで登り詰めると、前方には白毛門に向けて白く緩やか(に見える)な稜線が続いている。強い風が吹き、南側に雪庇が出ている。雪はフカフカだったり、クラストして堅かったりする。緩やかな登り斜面をゆっくりと進んでいく。11時、真っ白い白毛門の山頂に到着。しかし、この山行の核心は、実は白毛門からの下り1時間だったと思う。
 白毛門山頂でアイゼンに履き替え、スタート。下り始めにちょっとした岩場があり、ひやっとする。その先も、薮の際を慎重に進んで行くが、ところどころで雪を踏み抜いて膝ぐらいまで埋まってしまい、体力を消耗する。下り始めてすぐのところで、登山道のある尾根への入り方が分からず逡巡。いったん右側に進み、斜面をトラバースしながら登山道のある尾根に戻った。雪庇の出ている下を急ぎ足で、先行者の足跡を忠実に辿る。その後も、痩せた尾根を雪庇に注意しながら進む。
 1484mピークからはトレースがついていて(土合からここまで往復したらしい)、ずっと歩きやすくなった。とはいえ、ずっと急な下り。湿った雪なのでアイゼンに団子状に雪が着いて歩きにくく、途中でツボ足に替えた。下っているうちにちらちらと雪が舞い始め、ひたすら下って登山口に着いたときには心底ほっとした。車道に出て、5分ほど歩いて土合駅に到着。

天候、積雪量にも恵まれ、予定の行程を終えることができた。
今年は例年より積雪量が少なめ。難しいところはなかったが、積雪量によっては1泊の行程では厳しいと思われる。また、白毛門山頂直下の下りは積雪や視界の有無で難易度がかなり変わるだろう。白毛門の登山道は、樹林帯に入ってからはテープのマーキングがあちこちに見られた。