八ヶ岳 石尊稜
2008年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
期間:2009年1月24日〜25日
メンバー:牛山、下田

23日(金) 下田車で美濃戸山荘下の駐車場に入り、車中泊
24日(土) 雪後晴れ
朝6時に起きる。同行するはずだった山田が前夜から風邪っぽく、熱が出てきたようだ ということなので下山することになり、美濃戸口まで送って再び美濃戸山荘下まで戻る。
7時半頃歩き始め、9時過ぎ赤岳鉱泉着。テントを張り、石尊稜に向かう。一度中山乗越 に出てしまい、引き返す。赤岳鉱泉から行者小屋へ向かう道の急登が始まる所から、 すぐに左に進みとなりの沢に出れば良かったのだが、木曜、金曜の降雪のせいか、 ここのラッセルがひどく大変だった。腰まで潜り、雪も変に重い層があって足を引き抜く のに消耗する。なんとか、正しいルートである沢に出てからは、雪面にかすかに残る古い トレースの痕跡を忠実にたどり、膝下程度のラッセルとなった。 予定では1時間程度で着くはずが、3時間半かかってようやく石尊稜取付きに着き、 1時を過ぎてしまった。時間もなく、ラッセルで消耗していたので、この日はここで下りる ことにした。取り付きの少し前で、ラッセルに対する感謝の言葉を述べながら追い越して 行った4人パーティは下部岩壁に取り付いて行ったが。。。
なお、翌日登ろうと思っていた、三叉峰ルンゼは完全に埋まっていた。

25日(日) 晴れ
4時半起床、6時5分発。7時10分石尊稜取り付き、8時頃下部岩壁、12時稜線、14時赤岳鉱泉、 15時40分美濃戸山荘下の駐車場
前日自らのつけたトレースを上がり、朝1番に取り付く。リッジに上がったところで アイゼン、ハーネスを付ける。下部岩壁取り付きには、ペツルボルトによるビレイ点が 2つあり、整備されていた。以前登った記憶では、まさにIII級程度で簡単な岩場という 印象だったが、この日雪がひととおり付いていて、見た目の難度がかなり上がっている。 最初右の方を登り始めるが、無理だったため一度下りて中央のフェースを登る。バランスで 立ちこみを多用して、5m上のピンにクリップするまでは緊迫、それ以後はピンも増えてきて、 安心して登れた。フェース上部の支点で一度切って、1ピッチ半で岩の部分は抜けた。 以後ロープは仕舞って、ひたすら登る。 霧氷や雪で化粧された木々の中のまっさらなスノーリッジに、自分の足跡をつけながら 登るのはとても気分がいい。また、地形も変化に富んでおり、ナイフリッジ、急斜面、台地 と飽きさせない。天気は徐々に青空が広がり、阿弥陀岳もよく見えてくる。 リッジを登りつめたどんづまりにハーケンが連打されているところが、上部岩壁の取り付き だった。登りやすい凹角を上がると、リッジ上にニョキニョキ出ている岩角がホールドとして 使えて、精神的に楽になった。25m程度でリッジを抜け、ルンゼを上がった岩角でビレイ。 その後少し雪の締まったルンゼを上がってピッチを切る。そこからコンテに変えて、すぐに 稜線に出た。富士山がとてもきれい。風を避けて休憩。地蔵尾根までは、思ったより長い 稜線歩きが残っていて、所々雪が腐っていていやらしかった。地蔵尾根の下りあたりから、 疲労の色が濃くなり、だいぶ消耗して赤岳鉱泉に帰り着く。下田は、落したヘルメットを 探しに石尊稜の取り付きに向かう。頭のバンドが割れてしまったために、ザックから落ちて しまったようだ。もうほとんど人のいなくなった赤岳鉱泉の天場を出て、最後のひと頑張りで 美濃戸山荘下の駐車場に着いた。疲れた!しかし、満足感の大きな山行だった。