唐沢岳幕岩S字状ルート
2006年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
期間:2006年12月28〜2007年1月1日
メンバー:米田、牛山

日程:
2006年12月28日(木)
(22:15)八王子―(02:00)大町市葛温泉
温泉横の枝道にテントを張って寝る。

12月29日(金)
(07:30)起床―(08:45)葛温泉―(11:00)高瀬ダム下―(12:00)金時の滝下―(15:30)大町の宿
天気曇り。除雪の人が駐車スペースを示してくれ車を移動。東電道路を高瀬ダムまで歩く。
途中七倉で登山届を提出。
金時の滝より上は、だんだん雪が深くなり、川原は歩きにくく、時間をとられる。
大町の宿は水が出ていた。貸切と思われていたが、暗くなってから関西の3人パーティが到着。
アルファ米、マーボー春雨、スープ。

12月30日(土)
(04:00)起床―(05:30)大町の宿―(08:00)アンザイレン―(13:30)大テラス―
(15:30)テラス―(16:00)ビバーク
雪と風で視界悪い中を、左のルンゼをつめる。
6時半頃から明るくなり始め天気も回復。後晴れ。
取り付きが分かりにくいが、ここしか考えられないというところの雪壁を登る。
途中悪くなり始めたところからザイルを付け、
米田さんからリード開始(以後奇数ピッチ米田、偶数ピッチ牛山)。
2ピッチで洞穴のあるテラス。
明峰ルートとの交差点と思われる。
そこから一旦下って悪い斜面をトラバース。
4ピッチ目の途中で、本来登るはずの氷瀑の上に出てしまった。
5ピッチ目は広めの場所で切る。
6ピッチ目は凍った凹角、気休めピンを3本取って上部の比較的安定した氷を登り、
50mいっぱいで大テラス。まだ2時前だったため、7ピッチ目さらに凍った凹角に入る。
上部の凹角は雪が乗ったつるつるスラブ、
ボルトがありルートをはずしていないことは判明。
わずかな草つきにバイルを決めて越える。
ここを越えたところで15時半となり、
ビレイ点の10m横にスペースを見つけてツェルトを張ってビバーク。
五目御飯、カツ丼、スープ、お汁粉。
高瀬ダムの照明や月や星がきれいだった。

12月31日(日)
(05:00)起床―(06:40)テラス―(11:15)登攀終了―(15:00)右稜の頭下降開始―
(19:00)右稜のコル―(19:10)大町の宿
天気:晴れ。
8ピッチ目、9ピッチ目は草付きとブッシュを直上、どうやらルートをはずしたらしい。
夏ルートに入った可能性が高い。10ピッチ目でハングに達する。
本来右に行かなければならなかったのかもしれないが、
右は行けるようには見えず、ハング左端を直上。
12ピッチ目で登攀終了。ザイルを解き下降点に向かって右上する。
時々腰までのラッセル。
2時間ほど登り、さらにルンゼを下り、ようやく右稜の頭にたどり着く。
山嶺第一ルートを登る関西パーティがすぐ横に見えた。
懸垂下降は最初2ピッチが藪の中、3ピッチ目の絶壁、
なだらかな4ピッチ目、急な雪壁とがけの5ピッチ目、
6ピッチ目ルンゼを下り、7ピッチ目急な雪壁を右寄りに下りて右稜のコルに着いた。
ちなみに、5ピッチ目の懸垂でロープが引けず、
体重をかけて2人で一度ずつ引いたら、ロープは下りてきたが、
支点にしていた木が折れる音がしてちょっとやばかった。
大町の宿にはYCCの2パーティのテントが増えていた。
山菜おこわ、親子丼、年越しそば。
ラジオは全く入らず、紅白は聞けなかった。

2007年1月1日(月)
(05:00)起床―(07:30)大町の宿―(09:30)ダム―(11:30)葛温泉
天気:晴れ。
お雑煮、お汁粉を食べ出発。下りはトレースが固まっていて歩きやすい。
大町温泉郷で温泉につかった。
なお食堂がファミレスしか開いておらず、
しかも激混みだったので、安曇野のそば屋まで昼飯がおあずけとなった。

感想:
S字ルートはフリー主体であり、本来は氷が厚く安定する1月下旬とか2月に登られるルートであるようだ。
他のパーティには悪かったでしょうと言われたが、実際氷の付きが悪く、悪かった。
何しろ今年はエルニーニョのためか暖冬で、いつもよりさらに氷の付きが悪いはずなのだ。
従ってルートはとにかく登れるところを登ったという感じであり、
本来のルートをはずしてしまったのは仕方がないと思われる。
今回唐幕には、我々(S字)、関西3人パーティ(山嶺)、YCC(大凹角、ドリームタイム)、
もう1パーティ(畠山ルート)の5パーティが取り付き、大盛況だった。
また、天気にも非常に恵まれた。
今回もまた米田さんには経験を積ませてもらって感謝しています。(記:牛山)

6ピッチ目を登る牛山(岳人掲載写真)


9ピッチ目を登る米田




登攀後


全景