裏銀座縦走
2024年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバーNN
期間:2024年7月22日(月)―25日(木)


7月22日 快晴
高瀬ダム上6:40…烏帽子小屋11:15(11:25出発)…烏帽子岳12:10…烏帽子小屋13:35(幕営)

前夜22:30発の毎日あるぺん号で七倉へ。3:40に到着し、登山センターの建物の前で仮眠。6:15頃に乗合タクシーに乗車し、高瀬ダム上までアクセスできた。
7月はじめに大雨で橋が流されたという濁沢は、数日前に丸太橋が架け替えられていて、すんなりと渡れた。ありがたい。沢を渡ってすぐ、ブナ立尾根の登山口。とにかく、ひたすら登る。最初から暑い。樹林はきれいだがとにかく暑い。つらい。さすがアルプス三大急登。悪いところはないが、急だ。
烏帽子小屋に到着し、テント場の受付を済ませたら、サブザックに最低限の荷物を詰めて烏帽子岳を往復。前烏帽子岳までたどり着くと、烏帽子岳がきれいに眺められる。鳳凰三山のオベリスクみたいだ。山頂直下の岩場を登り、山頂に立つ。
烏帽子小屋に戻り、自炊小屋で他の登山者たちと入山祝をしてからテント場へ。小屋から3、4分ぐらい登ったところに快適なテン場。ありがたい。夕食をとり、することもないので19時就寝。

濁沢の丸太橋、数日前にかかったばかり

前烏帽子岳付近から烏帽子岳を望む

7月23日 快晴
烏帽子小屋4:40…野口五郎岳8:10…水晶岳11:50…ワリモ岳14:00…鷲羽岳14:50…三俣山荘16:00(幕営)
3:30起床、朝食をとり、テントを撤収して出発。今日も快晴、歩き始めてすぐに日の出が見えてテンションが上がる。ずっと歩きたかった裏銀座縦走コース、右手には赤牛岳から水晶岳の稜線がきれいに眺められる。水晶岳が地味に遠く感じる一方で、左手に槍ヶ岳が思ったより大きく見えてテンションが上がる。
野口五郎岳は360度の展望。槍ヶ岳がひときわ美しい。休憩しながら他の登山者と写真を撮り合う。野口五郎岳から先はゴロゴロ石で歩きにくい箇所も多く、地味に消耗する。東沢乗越から、水晶小屋が見えているけど遠い。水晶小屋にたどり着き、重荷をデポして水晶岳に向かう。往路はどんより曇り空だったが、山頂に向かうにつれて晴れてきて、山頂では青空に。幸せ。
だいぶ長く歩いてきてヘロヘロだが、ワリモ北分岐から鷲羽岳に向かう。思ったより急坂で登りにくいワリモ岳、山頂が見えているのになかなか着かない鷲羽岳。ようやく山頂に立ってしばらくしたら空が少し黒くなり、雷鳴が聞こえてきたので慌てて三俣山荘に向かう。山荘への下りも思ったより長い。つらい。
小屋の前のベンチで、今日すれ違った登山者たちと飲みながら話をし、テント場へ。小屋から数分の快適なテン場、水場もすぐそばにある。天国。翌日の天気予報があまりよくないのが気になるが、だいぶ疲れていたようで、テントを張り、中に入って速攻就寝。

三ツ岳方面を望む。月が出ていた

野口五郎岳山頂から槍ヶ岳を望む

高山植物も見頃だった

登ってきた水晶岳をバックに1枚

鷲羽岳山頂まではあと一息

7月24日 風雨
三俣山荘4:35…三俣蓮華岳5:40…双六小屋7:35(8:10発)…鏡平山荘10:00…わさび平小屋13:00(宿泊)
3:30起床。朝食をとり、出発準備をしていると雨が降り始めた。雷鳴も聞こえる。雨のなかテントを撤収し、出発。今日は西鎌尾根を歩いて槍ヶ岳に向かい、殺生ヒュッテまで下る予定だが、天候次第では双六小屋から新穂高へエスケープを検討。とりあえず双六小屋に向かう。
歩き始めはガス、雨は断続的に強く降ったり止んだり、風も強い。やや遠くで雷が鳴っているなかをゆっくりと進む。三俣蓮華岳はガスで真っ白、何も見えないので急いで通過。天気がよければ双六岳を経由して双六小屋を目指すのだが、眺望はないし、体力を温存したいので巻き道ルートへ。アップダウンはあまりなく、高山植物が美しい。ときどきガスが晴れて周りが見えて素敵だが、風雨にさらされ、雨具の中も湿ってしまって寒い。
双六小屋にたどり着き、中でホットカルピスをいただく。温かくて生き返る。 出発前の宿泊客に小屋スタッフが「今日は1日雨です、風も強いです。明日も天気はよくないです」と伝えている。この先も風雨に打たれながら西鎌尾根の稜線を歩くのは、今の自分にはちょっときつい。新穂高へ下山を決める。
弓折岳の分岐までがだいぶ長い。天気がよければすばらしい景色なのだろう。高山植物はとてもきれいだった。鏡平山荘前で軽く休憩、天気がよければ槍・穂高が美しく見えるのだが真っ白で何も見えない。小池新道は比較的歩きやすく、どんどん下っていく。とはいえ傾斜は強く、登ってくるひとたちはとてもきつそうだ。
小池新道登山口を過ぎ、わさび平小屋に到着。昼食にそうめんをいただきながら、このあとの予定を検討。新穂高まで下って温泉宿に宿泊…と考えたが、ずぶ濡れのザックや靴を乾かせる宿などないだろう。小屋に今日の空室状況を聞くと、女性1名なら宿泊可能とのこと。宿泊させていただくことにする。1泊夕食付き9800円(2024年7月現在)、お風呂あり、乾燥室あり。
風呂に入ってさっぱりして昼寝している間に、ずぶ濡れのザックや雨具、シャツ類も乾いた。夕食は品数が多く、どれも美味。客室は快適。天国だ…。

三俣蓮華岳山頂、何も見えない

双六岳の巻道ルート、土砂降りだが花はきれい

7月25日 曇り
わさび平小屋5:15…新穂高ロープウェイバス停6:10
4:30起床。今日は帰るだけなので遅いスタートでよいのだが、早く起きてしまった。ゆっくり身支度をし、小屋を出発。心地よい雑木林の道を進む。少し雨がぱらつくこともあったが、なんとか降られずに新穂高ロープウェイバス停到着。

有名な露天風呂「新穂高の湯」を見物
予定ルートを踏破することはできなかったが、ずっと歩きたいと思っていた縦走路を快晴のなかで歩くことができた。両極端な晴天と荒天を体験することもでき、充実した山行となった。

● 山行メモ
・ 往路:毎日あるぺん号を利用。竹橋22:30→七倉3:40。七倉から高瀬ダムへは乗合タクシーが運行。2024年は途中の道路で崩落があったため、崩落地の区間をはさんでタクシーが運行している(崩落地の区間は徒歩となる。15分くらい。現地でヘルメットの貸出あり)。
・ 烏帽子小屋のテン場は、小屋から登山道を登って5分程度、途中の展望地で携帯がつながる。水は小屋で購入。
・ 三俣山荘のテン場は小屋から3分程度。登山道に沿って6区画くらい。小屋から一番近い区画には水場がある。小屋やテン場周辺でドコモの携帯はつながらない。
・ 新穂高温泉ロープウェイの周辺は観光施設や飲食店、コンビニ等がない。日帰り入浴施設は9時ごろからのオープン。
・ 復路:新穂高から路線バスで平湯温泉に向かい、平湯温泉から新宿行きの高速バスを利用。9:35平湯発、14:15新宿着だった。