大井川赤石沢
2023年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバーDS、YK
日程:2023年9月16日~18日


赤石沢は沢を始めた10年以上前から長年いつか必ず行くと決めていたルートの1つ。
気運が高まり8月に1度計画し山小屋予約成功までこぎ着けたが、直前でメンバーぎっくり腰により山行中止。泳ぎや渡渉の多い沢なので1番暑い時期にと思っていただけに今シーズンは予定的にももう無理かと思われたが、今年はいつにも増して猛暑続き。9月上旬で暑さのピークは過ぎたというが、まだ真夏日が続く毎日。まだ行けるかも!と奮起しリスケを試みて、17日ピンポイントで空き状況を毎日毎日小屋の予約サイトでチェックした。一縷の望みにかけて諦めなかったことが功を奏し、3連休のベストタイミングで予約成功することができ、天気予報も好天予報の流れを掴むことができた。

9/15(金)
20:00、町田駅セブンイレブン集合
0:00、畑薙夏季臨時駐車場
流石に3連休。それになりに車は止まっていた。移動中は雨雲の中だったが畑薙付近は降らなかった様子。車中泊。

9/16(土)、晴れ
5:00、起床
事前情報でバスの台数に限りがあり混雑すると予定時刻にバスに乗車できなくなるらしく、そんなことになったら計画が破綻するので5:30頃には並び始めた。流石に1番乗り。バス停表記が降車専用と書いてあり本当にここで合ってるのか不安になった。周りの人達もよく分かっておらず、分からない者同士でお互いに確認し合っていた。
6:45、畑薙夏季臨時駐車場、発
7:15発予定だったが臨時の車が3台出ており16名くらいは先に乗車。名物ヘルメットを被って聖岳や赤石岳のビューポイントを教えてもらいながら林道を進む。東海フォレストが言うには今日は90名近く乗客がいるそう。 一応牛首峠で途中下車無効出来ないか聞いてみたが渋られてしまった。
7:40-7:55、椹島ロッジ
トイレを済ませいざスタート。 東海フォレストから林道より烏森山コースから分岐を右に進むと最短で牛首峠に出れることを教えてもらい利用。
8:05、牛首峠
ロードバイクが4台置いてあった。先行パーティかもしれない。 沼平からここまで16.4kmという看板と赤石沢一級河川の標識が目印。青空の下、赤石岳山頂がくっきり見えて気持ちが上がる。 牛首峠からそのまま階段やはしごがかけてありそれらを下るとすぐ入渓できる。
8:10、入渓
明らかに水量が少ない。入渓点から少し進んだところの頭上に橋がかかるところの水量計は最下段を示していた。9月ということもあるだろうが、今年はどの沢に行っても寡雪で雪渓が少なく晴れ続きで水も少ない。
8:35、ウナギ淵?
左岸から簡単に巻く。
8:45、写真でよく見た淵
右岸からあっさり巻く。
9:10、ニエ淵?
泳ぎNGのYKは対策として今山行のために上下ウエットスーツを購入し着用。DSも装備をたくさん新調して気合十分で望んだ。 淵の突破で泳ぎで15m補助ロープを2P出す。抜け口が滑っていてなかなか上がれず流れに押し戻されてしまったので1度戻って体制を整え直す。新品finetrackに上下包まれているとはいえ流石にずっと浸かっていると寒い。2度目はバイルを使用して突破。 左岸から巻ける道は見えていたが、何故か沢魂が疼いたのか泳ぎたくなり泳いで突破した。
10:00-10:10、4mチョックストーン滝?手前
スダレ状の滝に虹がかかり綺麗。直角に曲がるゴルジュはいくつも名も無き淵が続く。エメラルドグリーンの釜が美しい。 平凡なゴーロ帯。ダム建設の残骸がたくさんある。鉄やビニールやホースやら、、景観を損ねている。
11:20-11:40、取水ダム
水量はだいぶ少ない。ダムの左側の細い階段からは水が流れている。 ダムの上からは迷路のような巨岩帯を右往左往しながら越えていく。赤谷川本谷の巨岩ゴーロ帯を思い出す。
12:40、門ノ滝、下
2P、右岸凹角バンド?トラバース。約20mずつ出した。 支点もちゃんと取れ容易に呆気なく通過できてしまった。
13:15、門ノ滝、上
13:30、洞窟の滝
ヘッドランプを付けてロープと補助ロープを引き、残置スリングを使ってA0で穴を潜る。意外とガバがあり登るのには苦労しなかった。かなり古びた1本のハーケンに数珠繋ぎでスリングが付いており信用出来ないので極力荷重を分散して慎重に登った。穴から出たところで一旦荷上げ。 穴は空身じゃないとに確実に通れない。抜け口にはリングボルトやハーケンがあった。抜け口からは数mスラブを登ってすぐ滝上に抜けることができた。 後から気付いたことだが、抜け口から外側にロープダウンして荷上げすることも可能。そうすれば途中で短く切らずとも外から荷上げで1Pで滝上まで登れた。
14:00、洞窟の滝、上
大ガランが目の前に見える。
14:10、大ガラン
最初は直瀑沿いに行けるところまで進み、行き詰まった辺りから大ガランをトラバースしていく。ワンポイントだけ慎重にザレ場を通過しないといけなかったが、踏み跡もあり一瞬で通過できた。
14:25、1680m付近右岸C1
水量が少なく難しいところは一切なかったので計画より2.5h早く到着。この先も難所と言われるのは大ゴルジュの高巻きくらいなのでもっと足を伸ばしても良かったが、明日以降も好天予報で豊富な薪と整地されたテン場をパスするのは惜しく、迷ったふりだけしてザックを下ろした。
飯をたらふく食べ焚き火でチーズウインナーを焼いた。唯一心残りは釣竿を持ってこなかったこと。岩魚が足元でたくさん走っているのを見てきただけに軽量化とはいえ悔やまれる。YKはなんと酒まで持ってこないという軽量化の徹底ぶり。 15時頃から雨予報だったが結局終日晴れ。やっぱり行ってみないと分からないものだなと思った。 新月で真っ暗闇の星空はとても綺麗だった。シーズン最初で最後の焚き火を心ゆくまで堪能した。焚き火があれば寒くもなく虫も出ない時期でとても快適。もしかして今がベストシーズンなのでは?と思ったりした。
20:00、就寝

9/17(日)、快晴
4:00、起床
5:20、C1発
6:00、大ゴルジュ、下(1780m)
入口は右岸に2本と本流の3俣になっている。雪渓は当然ない。右岸右のガレ沢を50mくらい登り、右側の踏跡から崩壊地点までフリーで進む。そこからは沢に復帰するまでロープを繋ぐ。 ガレ沢を登っている途中で何故か立派な茄子を拾う。 最初の3Pは凹角からフレークを使って登り、トラバース気味に登り続け、最後は小さい沢筋に向けて下る。沢へ下るのは懸垂か迷ったが途中に残置スリングがあったのでそれでクライムダウンした。そこからは更に踏跡らしきものを辿り、小尾根を越え、山腹を巻き下るように5P出して歩いて復帰。結果的には小沢に下りてからはロープ無しでも問題ないラインだったが、乗っ越しで先が見えなかったので念のため出し続けた。
8:10-8:30、大ゴルジュ、上
降り口の対岸には枝沢が落ちていた。折角なので大ゴルジュの落ち口を見学してみた。確かに登れなさそうだった。
8:35、小雪渓沢出合?
赤いラジオラリアがたくさん出てきて沢に彩りを与えていた。
9:10、大雪渓沢出合? 左岸幕営可能。
9:40-9:50、写真でよく見る綺麗な淵の滝。 一見無理そうだが左壁をヘツって繋いで登れる。
10:00、1個前出合、大雪渓沢?名称不明。獅子骨沢と大雪渓沢と小雪渓沢の場所が登山体系と地図で場所表記が違う。
10:15、裏赤石沢出合。 なんてことない釜だったが泳ぎを避けて巻いたら最後10m懸垂することになった。沢に復帰すると目の前に次の8mCS滝が見えた。 トポの8mCS滝は中央を直登した。
11:15-11:30、百間洞・奥赤石沢出合
良いテン場あり。焚き火跡もある。 百間洞はそこかしこに良さそうな幕営適地がある。岩魚もたくさん足元を走っていた。
12:20、左岸50mくらいの白糸の滝
12:25、百間洞の滝
左岸から草付を上がってバンドを左上。5分で通過。流石にこの上から魚影は見なくなった。
13:00-13:10、2300m付近、右岸に顕著な沢出合
何もない小屋跡を通過。左右いずれかには踏み跡があり沢筋を通らなくても歩ける部分が多くなってきた。辺りの山肌は紅葉が色付き始めている。
13:40、百間洞山の家、2515m(小屋表記)地図は2460m
突然目の前に小屋が現れた。結局沢の中では誰にも会わなかった。 小屋によると今年の赤石沢は過去3番目に水量が少なかったらしい。 外で荷物を乾かして地図や本を読んでゆっくりする。14時くらいにテン場に着けるとまったり寛げて良いなと改めて思った。 部屋にはコンセントやUSB端子の充電器がある。流石に沢筋なので電波は入らないが食堂にはTVで天気が確認できる。予約サイトは満室で小屋の定員は30名だったので混んでいるかと思ったが人数制限で8名しか泊まっていなかった。どおりで予約しにくいわけだ。
17:00、晩飯
名物の塩麹とんかつ、海老おろし蕎麦、オクラ、サラダ、キャベツ、漬物、山菜味噌汁。 ご飯食べ放題なので4膳頂いた。小屋最高、幸せ。
20:00、就寝
今日も星空が綺麗だった。新月で暗いので天の川も見えた。

9/18(月)、快晴
2:40、起床
3:40、出発
椹島まで長いのでヘッドランプを付けてスタート。
4:30、百間平
6:00-6:15、赤石岳
日の出。富士山が大きい。久しぶりの赤石岳。前回は展望が良くなかったが今回は快晴。やっぱり南アルプスは良い雰囲気。
6:30、分岐
あっという間に稜線散歩終了。縦走したい。
7:00、北沢源頭
水場あり
7:30-7:50、富士見平
展望良い。御来光が綺麗だろう。
8:10、赤石小屋
赤石岳が正面に見える。
10:20、椹島ロッジ
10:35、バス発車
11:35、畑薙

白樺荘で風呂に入り、静岡といえばの某チェーン店でハンバーグと思っていたら入店2時間待ち。恐るべし三連休。諦めた。
沢登りを始めた頃から長年行きたかった沢の王道ルート。今年は渇水で難易度こそ高くはなかったが十分満足できた。唯一の心残りはあれだけ岩魚が走っていたのに釣具を持っていかなかったことだろう。
南アルプスの盟主へ突き上げる赤石沢は絶対1度は登って損はないと思う。沢から登れる山頂はやはり気持ちが良い。また再訪したい。