虎毛山塊・赤湯又沢-虎毛沢
2022年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバーNN(記録)、NK、SK
期間:2022年8月29日(月)-30日(火)


「温泉の湧く幕場に泊まり、ゆるやかで美しい沢を歩く、癒しの沢旅3日間」 そう銘打って、先輩方をお誘いして企画した東北の沢遠征。秋田在住のSK先輩という心強い味方を得て、充実の山行となった。

8月28日
19時頃に道の駅おがちに集合。道の駅に隣接の公園で前夜祭。SK先輩が作って下さる焼きそばやオムレツなどの料理をおいしくいただき、就寝。

8月29日 晴れ
湯ノ又温泉跡7:30…虎毛高松縦走路分岐10:00…680m温泉幕場13:30…虎毛沢出合16:20
 4:30起床、朝食をとり、登山口へ。今回は車2台だったので、1台を下山地の虎毛沢登山口にデポし、湯ノ又温泉跡に向かった。
 最初は湯ノ又沢を遡行し、虎毛高松縦走路を目指す。沢と登山道が並行しているので、途中まで登山道を進み、途中から沢へ。沢は歩きやすく、ナメ状の沢床が美しいところも。沢と登山道が離れる標高800m付近で登山道に戻り、一気に標高を上げていく。SK先輩が事前に下見をしてくれていたので、よいルートを選んですんなり縦走路に出ることができた。ありがたい。
 縦走路を南に少し進んで赤湯又沢左俣を下降…と考えていたのだが、右俣のほうが短時間で下れるのではと先輩方から指摘があり、右俣から下ることにする。少しヤブをこぎ、沢地形を下っていく…が、下り始めは岩が露出した急斜面。灌木を掴みながら慎重に下り、ほどなく歩きやすい沢になった。赤湯又沢の左俣と合流し、しばらくするとだんだん水が生温いような気がしてくる。少し温泉のような匂いもする。さらに進むと、温泉の煙があちこちから出ているのに遭遇!水たまりも暖かい。このあたりが今回宿泊予定の温泉の幕場!
…だったのだが。
3日目の天気予報が雨なので、できれば2日目のうちに虎毛山山頂の山小屋までたどり着きたい。だとすればもう少し先まで進んでおいたほうがよいのではないか…と考え、温泉幕場を泣く泣くスルー。さらに下り続け、虎毛沢出合を目指す。出合に出る直前に下れない淵と滝が出てきたので、右岸を小さく巻き、尾根を越えて虎毛沢に下り立った。よい幕場も見つけられたのでここで行動終了。焚き火をし、心地よい一夜を過ごす。

登山口。ここから沢沿いの登山道へ

湯ノ又沢。歩きやすいナメ床が多かった

あちこちで噴気が上がっていた

8月30日 雨ときどき曇り
虎毛沢出合6:30…710m枝沢分岐11:00…虎毛高松縦走路13:30…虎毛山登山道15:00…虎毛山登山口18:00
4:30起床。焚き火をし、朝食をとって身支度をしているうちに雨が降ってきた。今日は行動中は降らないと予測していたが、降り始めが早くて悲しい。
最初はゆるやかで歩きやすい川原歩き。美しいナメ床、虎毛沢の象徴である亀甲模様もあちこちで見られる。曇りで時折雨が降っているけれど、水はエメラルドグリーンで美しい。晴れていたらもっと美しいのだろうか…。
標高570m、左岸の幕場適地を過ぎたあたりから渓相が変わる。美しいナメや川原歩きの合間にゴルジュや淵、小滝が現れるようになる。腰まで水に浸かってへつる場面や、微妙なスタンスを慎重にたどって小滝を登ったりゴルジュを通過する場面も。水流が激しく、落ちたくないので必死。なかなか渋いが、楽しい。川幅も少しずつ狭くなってきた。
標高710mの枝沢に到着。735mの二俣まで進んで右俣を詰める記録が多いが、この枝沢は最短で登山道に出ることができ、困難な個所もない…という情報を信じて枝沢を詰める。ヤブっぽいが、たしかに沢型ははっきりしていて歩きやすい。ぐいぐい標高を上げていく。標高900mを過ぎると傾斜がかなり急になり、空も近くに見える。もうまもなくかと思いきや、沢型がなくなり、ずるずると滑る急斜面の泥壁、さらに灌木のヤブに。それでも10分ほどのヤブこぎで縦走路に飛び出した。遡行終了。
ササや灌木が生い茂る縦走路を進む。とはいえ踏み跡はしっかりついているので、歩きやすい。ゆるやかなアップダウンを繰り返して、虎毛山の登山道に出た。雨に打たれて衣服もザックもだいぶ濡れている。避難小屋に泊まっても濡れた衣服で一晩過ごすのは快適ではない…ということで、一気に下山することにする。急ではあるが整備された登山道を下る。だいぶ疲れているので慎重に進み、やや薄暗くなりかけの18時、よううやく虎毛沢登山口に到着。車を回収し、ふたたび道の駅おがちで宿泊をし、翌日帰途に着いた。
雨に翻弄され、3日間の優雅な沢旅の予定が、だいぶ過酷な行軍となってしまった。それでも、終わってみれば素敵な景色をたくさん楽しめたし、ハラハラしながら越えた小滝やゴルジュ、淵もいい思い出だ。同行してくださった先輩方には感謝しかない。 次回…があれば、ぜひ2泊で、そして天気のよい日に歩いてみたい。






虎毛沢名物の亀甲模様

遡行終了、ヤブっぽい登山道に出た

登山口に到着。おつかれさまでした
● 道の駅おがち
きれいなトイレや、24時間利用できる休憩施設、コインシャワーなどがある。物産館は9時から18時の営業。
●下山後の温泉
湯沢市にある温泉の共同浴場「ほっと館」で入浴をした。入浴料450円(シニアは400円)、5時から21時まで営業している。※道の駅おがちから車で20分くらい。以前は秋ノ宮温泉で日帰り入浴ができた(という記録があった)が、今は日帰り入浴対応の宿はないようだ。