多摩川水系 滑瀞谷 小常木谷
2021年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバーDS、NK、NN
期間:2021年7月31日

山行タイム:余慶橋(1:25)花ノ木谷出合(3:50)岩岳沢出合(1:45)岩岳尾根1430m(2:00)余慶橋

本来は湯檜曽川本谷を遡行予定で準備していたが、台風8号の影響もあり天候が芳しくない。天気図を見ると日本周辺に五輪のような配置で低気圧が5個連なっていた。大体夏のこの時期は太平洋高気圧の張り出しで天気が良いはずなのに今年はどうもパッとしない天気が続く。最後まで迷ったが湯檜曽川本谷は延期することにし、天気が少しは見込めそうなエリアと日程に変更して小常木谷に転戦した。

7/30(金)

21:00、南浦和駅集合
道中、局地的な土砂降りで不安になる。再度予報を確認すると前日の予報より悪化気味。明日は午前勝負だろうと腹を括る。

0:00、道の駅たばやま
トイレや自販機、軒下にベンチもあり快適。軽く飲むつもりがいつの間にか遅くまで、、
1:30、就寝

7/31(土)、曇り時々晴れ

4:30、起床
5:00、道の駅たばやま
車で余慶橋まで移動。

5:05-5:15、余慶橋
橋の東側に駐車スペースあり。5台くらいは停められるだろうか。沢支度を済ませ、橋の脇から薄らとした踏跡に沿って丹波川に降り立つ。
因みに同じ入口から上に続く踏跡が一般登山道で、こちらは大高巻きしながら小常木谷と火打石谷の出合付近に繋がっている。
丹波川は渡渉訓練や泳ぎ系の遡行対象にもなっている川とあってなかなか水量が多い。
通常、小常木谷へ向かうには丹波川の左岸を5-10分程度、膝上くらいの遡行で滑瀞谷出合に到達し小常木谷方面に入っていく。

はずなのに、、、
ここで初っ端から痛恨のRFミス!!久しぶりにやらかした。
最初の滑瀞谷出合を小常木谷と火打石谷の出合だと勘違いして左へ進んでしまい、なんと1hくらい丹波川を遡行してしまったのだ。その間、足の付かないヘツリでロープを出したり、3人手を組んでの渡渉があったり、釣り師と遭遇したり。昨日の雨のせいなのか水量も多くてなかなか大変だなぁと呑気に思いながら進んでいたが、事前情報とだいぶ違うしふと見上げるとまだ車道が上に見えるしで流石に異変気付いた。幸い車道へ上がる踏跡をすぐに見つけることができたので簡単に戻ることができた。
言い訳ではないが、滑瀞谷への入口は狭いゴルジュになっており鬱蒼としている。

6:25、余慶橋(リスタート)

6:30-6:40、滑瀞谷出合
改めて地図を確認し、登山道の木橋や資材運び用のモノレールを確認する。遠回りしたが沢のアクティビティとしては丹波川も良いアクセントになったので良かったということにしよう。
いよいよ小常木谷入渓。沢内は岩から茶色の鉄成分が染み出している部分が時々見受けられた。また縞模様の岩が特徴的だ。花ノ木沢までは時々小滝は現れるくらいで概ね単調な沢歩きが続く。

8:00-8:10、花ノ木沢出合(860m)
ここからが小常木谷のハイライト「置草履の悪場」。大きく以下4つの滝が出てくる。
3人パーティなので基本DSがトップが登って30mロープをFIXし、セカンドはアッセンダーで登り、ラストはビレイで登るシステムにした。


兆子ノ滝10m
1P、左壁の凹角から古そうな残置ロープのあるラインを登る。ホールドはしっかりあるので意外と易しい。


不動ノ滝12m
左岸の支流をバンドまで登ってから落口方面に左上。支流から離れるバンドからは念のためロープを出した。ヌメリがあり高さもあるのでノーロープは結構リスキー。ただ支点が1つも取れないのでトップは絶対に落ちられない。登り切ったところに残置ロープがあったが短すぎて意味がない。
高巻きのため更にもう1Pロープいっぱいに伸ばし、続く5m滝も纏めて巻いて落口に降り立った。


大滝14+4m
下段4mは簡単に登れるので登ったところでビレイしてもらう。上段14mは一見階段上で水流沿いを簡単に登れそうだが意外と悪いらしいので事前情報通り左壁を1P登る。スリングのかかった残置ハーケンが良いところに2つあった。クライミング的にはここが1番難しかったような気がする。沢特有のヌメリなどを考慮すればW級くらいだろうか。


ねじれの滝8m+10m
結果的には30mロープ1Pで登れたと思うが、抜け口の終了点が近くにあるか見えなかったので2Pに分けて登る。
1段目は下部のバンドを伝い、2条の水線の左脇を登る。ビレイポイントはハーケン1枚と岩角とブッシュの3つで支点構築。
2段目も左壁の凹角沿いのスラブを登る。抜け口のビレイ用と思われるハーケンは抜けかかっているので注意。滝の落口にある巨大な倒木を使用してビレイ。

12:00-12:15、岩岳沢出合(1010m)
最初のタイムロス・午後から天気が怪しいこと・残りの体力を考え、遡行終了し岩岳沢から登山道を目指すことにする。
最初の1080m二俣は左、次の1180mの小さな二俣も左に進み、沢筋が急傾斜になる前に右岸の支尾根に乗った。尾根に上がる斜面は落ち葉と泥の急斜面で登りづらかった。

14:00-14:15、岩岳尾根(1430m)
あまり歩かれていない破線の登山道だが随所にテープがあり迷うことはなかった。落ち葉の敷き詰められた道はフェルトソールだとスリップしやすい。斜面の道は結構傾斜がキツイ滑り台状なのでスリップすると一気に小常木谷まで落ちてしまいそうだ。

16:15、下山
最初のRFミスに加えロープを積極的に使用したこともありなんだかんだで11h行動。
のめこいの湯で汗を流す。15時以降は大人600円で少しお得だった。

結局下山まで雨に降られることなく、予報は良い方向に裏切られた。小常木谷は登攀要素の強い沢で滝登りが面白かった。ただ当分無くなりそうにない量の倒木が玉に瑕。
今回中止した湯檜曽川本谷は今シーズン中に再チャレンジしましょう。ありがとうございました。