大同心雲稜ルート
2020年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバーYK、DS
期間:2020年8月2日(日)

コースタイム:赤岳山荘(1:30)赤岳鉱泉(1:00)大同心基部(3:00)大同心の頭(0:30)横岳(1:00)行者小屋(1:00)赤岳山荘

待ちに待った梅雨明け!
今回は8月末に計画している北鎌尾根への事前山行ということで八ヶ岳へ。
コロナの影響で3月以降全く山に行けておらず、体力やアルパイン系の外岩感覚の確認を目的とした。

8/1(土)
20:00、八王子駅集合
梅雨が明けたというのに道中雨がパラつく地域があり岩が濡れていないか若干不安になった。

22:00、道の駅小渕沢
条件が良いせいか今まで見たことなくらい多くの車が駐車されていた。思い返せば登山を始めて一回り経つにも関わらず8月に八ヶ岳に来るのは初。ここの風景は冬しか見たことがなくいつも閑散としている記憶だった。

8/2(日)、晴れ
4:00、起床
4:30、道の駅小渕沢
5:05、赤岳山荘
日の出と共に林の中を歩き始める。鳥の囀りや北沢のせせらぎを聞き野生動物を目撃したりすると、久々に山に来たなぁとしみじみ感じた。

6:35-6:45、赤岳鉱泉
テン場には小型テント多数。不思議な事にどのテントも示し合わせたかのようにmont-bell製。小屋からは焼鳥の美味しい匂いの煙が立ち込めており営業再開(8/1?)していた。
赤岳鉱泉から5分ほど歩くと丁寧に大同心沢への道標が立っているのでそこから大同心沢へロープを跨いで入る。更に5分ほど歩くと右岸に明瞭な大同心稜への踏み跡があるので道なりに高度を稼ぐ。

7:45-8:00、大同心基部
大同心基部で身支度をした後、基部沿いの踏み跡を下りビレイポイントへ。新そうなぺツルボルト1本と錆び付いたボルトが目印。見上げると古びた残置シュリンゲや1P目の終了点が見える。先行3人パーティーが2P目を登っていた。

8:00、登攀開始。
冬のトポでは6P(W、A1)となっているが夏はオールフリーで登れる。今回は2、3P目を長く取ったので4Pでドームの頭直下まで抜けた。
壁は八ヶ岳独特の岩質で、岩壁に丸い石がポコポコ埋め込まれているような壁で、ガバが多く思い切り掴みたくなるが、岩が取れないか慎重に確認しながら登っていく必要がある。体感グレードはどこも5.7?5.9の範疇だと思う。

今回は4P共DSリード。
1P目(25m)、ハング帯を目指しボルトを見失わないように薄被りの壁から体を離して傾斜を殺しながら登る。久しぶりなのでだいぶ緊張して慎重に登った。

2P目(50m)、途中20m程登った辺りにトポでいう2P目終了点があったのだが、流石に短すぎるかつロープの流れも悪くならない易しい直上だったので、先へ進み50m目一杯伸ばして岩角とRCCボルト2本でビレイした。あと5mロープがあればトポの3P目終了点は目の前だったのだが、途中から距離や障害物の影響かトランシーバーの感度が悪くなり、ロープ残数を把握できないまま進んだためピッチの切りどころを見誤った。

3P目(30m)、バンドを右にトラバースし始めるあたりが連日雨だったせいか、クライミングシューズの中に水が染み込んでくるほど濡れていて悲しい感じになっていた。フリーで全て抜けるつもりでいたが、手も足も濡れて岩がヌメリでツルツル&草付きも泥濘んだ沢登り状態で、もたもたしていられなかったため背に腹は代えられず残置シュリンゲに指一本引っ掛けてA0でササっと通過してしまった。

4P目(25m)、ドーム。左面のフェースから右へ上りカンテ沿いを登る。このピッチが雲稜ルートでは1番クライミング的に難しかった気がする。横岳縦走路からよく見える位置にあり威圧的な形をしている。カンテはスカイラインに出て気持ち良いのだが、若干被っているので景色を楽しんでゆっくり登っていると腕が疲れてくる。
ドームの核心を抜けたところにしっかりした終了点がある。大同心の頭まで行くのであればもう20m程傾斜の緩い岩場を直上するのが通常だが、右手に踏み跡や残置ロープが見えたので今回は終了点からロープを引きながらハイマツ帯を30m程右へトラバースし横岳への踏み跡に合流した。しかしハイマツの花粉が酷く、直上しても良かったなと少し後悔。

11:00-11:30、大同心の頭
約3hで登攀終了。登攀具を片付け、条件が良かったため山頂を目指すことにした。大同心の頭からは歩いて大同心稜へ下りることもできる。

12:00-12:10、横岳
山頂からは大同心南稜を登っているパーティーがよく見えた。夏は初登頂だったので写真だけ撮って地蔵尾根経由で下山開始。

13:10-13:30、行者小屋(休業中)
14:30、赤岳山荘

久しぶりの外岩で夏山らしい快適なクライミングを満喫することができた。パートナーに感謝。
本来は今頃マッターホルンへ登っている予定だったがコロナ禍で頓挫し目標は来年以降の持ち越しとなった。何かと生きづらい世の中になってしまったが、山ヤ三大北壁と上手く付き合いながら、登れる時に登りたい山を登れるよう日々精進したい。