いくつものゴルジュをヘツリながら先へ進むと沢の水が冷たくなってきた。更に空気もひんやり。この時期としては当然だろうがゴルジュ帯を雪渓がびっしりと埋め尽くしていた。その先に先行のパーティがロープを出して雪渓を登っているのが見えた。また、そのパーティの背後には、地図で確認していた三股の沢筋のスラブ帯が見える。下から見るとスラブが立っているように見えた。雪渓の途中で先行パーティと一緒になり、同じ場所で一本立てた。話をしていると東京のTMの風さんのパーティだった。
休憩もそここそにスラブ帯を進む。スラブ帯の右端に小枝ほどの草付が上まで繋がっていたので草付を利用しようと右端に寄って小枝をつかんだが草付は、泥に根を這わしていて足元のフリクションが全く効かない。草付を諦め慎重にスラブのわずかな凹凸に足をかけ進む。スラブ帯のテラスでTMさん達に追いつき一緒に休憩をした後、ここは先を行かせてもらい我々は先へと進む。9時18分、三股分岐点辺りに到達し、GPSで自分たちの現在位置を再度確認して、一番右側の沢を詰めていく。沢は直ぐに涸れ藪漕ぎになるが苦になるほど藪は濃くない。11時15分には尾根に出た。12時ちょうどに1005を踏んで13時7分西の沢へ下降開始
テン場予定地の700m付近は雪渓で埋まっており、この雪渓も不安定な状態なので更に下降することにした。670m付近に何とかテン場にできそうなスペースを見つけ木を切り倒し整地して16時2分、本日の行動を終了した。
薪を集め焚火タイムとなるのだが、IDさんは、沢飯で定番のイワナの塩焼きではなく肉系なのである。沢での非日常を楽しむため、ステーキ、ホルモン、ソーセージと沢では滅多に口にしない上物の肉系を持参していた。ご相伴にあずかる。「旨い!」この肉で夜は更けていった。
24日
6時に起床して焚火を起こし、しっかりと朝食をとる。なんといっても今回はクライムダウンの方が厳しいため、下降には7時間の時間を取っている。
0730テン場を出発し、0910の本流出合までの1時間40分間に25〜30mの滝を2本懸垂下降し、10m以下の懸垂下降を4本行いクライムダウンした。
その間、この沢は写真や文書では表現できないほど美しく、明るい素晴らしい沢の連続だった。是非、行ってもらいたい沢だ。
1245駒形沢出合で難しい懸垂下降が1回、そしてここからが、この美しい沢のクライマックスである函の泳ぎがある。函と言ってもゴルジュ帯の流れはほとんど無く瀞なので泳いでもなかなか進まない。
場所によっては渦を巻き逆流しているところもある。ここは荷物を背負い必死に泳がなければ岸にはつけない。
そんな瀞を我々は、どうしても泳がなければならないところだけを5回ほど泳ぎあとは、へつったり、高巻いたりした。なんとも素晴らしい沢だった。
1311駒倉沢出合
1333大久蔵沢出合
1345駐車場