中央アルプス 奥三ノ沢
2017年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバー野田・高橋(ル)、他2名
期間:2017年9月2〜3日

アルパインアイスルートで有名な中央アルプスの奥三ノ沢へ行ってきました。 今回の山行は4人で行動時間が多くかかるという事で車を二台準備、下降は駒ヶ岳ロープウェイを使う事にした。(結果的にはこれが正解。周回ルートでは下山は21時頃になってしまったと思う)
前泊は菅の台バスセンター近くにある駒ヶ根高原スキー場の無料駐車場(トイレなし)。なお、前夜に時間的余裕があるならば、道の駅木曽福島か、滑川砂防公園(トイレ無し)まで入っておくのも良いかも。ただし、伊那から木曽福島方面に入ってしまうと、夜間のガソリンスタンドが一切無いので注意が必要。

2日 <アプローチ>
菅の台バスセンターに車を一台デポ(600円)。なお、菅の台バスセンターが満車の際に案内される黒川平駐車場では、出車時間が遅くなると料金がかからなくなる模様。
バスセンター駐車場を出発、高速も使い1時15分ほどで滑川砂防公園へ。(最終のコンビニは国道19号から折れる直前にある「寝覚の床」のセブンイレブン。)
この砂防公園、ちょっと分かりにくいのだが、橋を渡って広場状になったところから道が上下に分かれている。上にはあずまやのある広場(その先にゲート)があり、下方向はすぐにゲートとなっており、この道が入渓地点に続いている。
さて、このゲート、支点が容易に倒せるので、自己責任ならばその先に車を進められる。その場合、敬神ノ滝小屋までは舗装道路であり問題なく入りそう。さらにその先は未舗装の林道となっており、数百mほどで転回可能で3、4台は止められるスペースがあった。ギリギリまで車を入れるとしたら、この地点までだろう。

<入渓〜F1>
そこから林道を歩き赤い橋の掛る最終堰堤(第五堰堤)から入渓。白い花崗岩にキラキラと澄みきった水のゴーロ帯をワクワクしながら楽しく歩くが2時間30分も歩くと飽きた。
奥三ノ沢に入る二俣の大岩が見えると、すぐ後ろにF1の2条30m滝が見える。(私はこの滝の登攀が一番の核心だったと思う)滝のしぶきを浴びながら野田さんがロープを着けてザックを背負ったまま行く。1ピッチP途中に残置ハーケンが1つ見えるが、この1ピッチ結果的にハーケン4枚を使い25m程登る。30mロープで行けるが、その場合、ビレイヤーが飛沫のかかる地点まで移動しなければいけない。
1ピッチ終了点にも残置ハーケンが2本あった。しかし、終点は、狭く斜めっている。水は上からボタボタかかるし、ヌルヌル滑る。更にそこは2人程しか立てないスペースなので、Iさんにはつるべで2ピッチへ向かってもらう。私はゴボウでやっと登り、ボタボタと降りかかる飛沫を四つん這いでしのぎながら心臓を鎮めた。

2ピッチ目の出だしはショルダーじゃないと上がれない(登ったポイントで、0.5のカムが決められる)。さらにもう2段上がって次を見るとロープが左にトラバースしているが先が見えず怖い。ただ、技術的には難しいわけではなく、すんなりと安全地帯にたどり着く。
ここをみんな登りきるまで2時間かかった。

<F2〜テン場>
すぐにF2の50m滝が見える。滝の数十mほど手前右から取り付く。いったん右上に登った後、左に向きを変えて白い灌木を目指して巻く。巻きも意外と大変。
F5上の快適なテン場を目標にしていたが、到底たどり着けそうにない、この時点で15時45分。大崩壊帯手前で左岸側になんとか整地すれば2人ずつ眠れそうな場所を見つけたのでそこを幕場とした。(水が多いとムリかも)

3日 <テン場〜F5>
6時55分出発 大崩壊帯自体は、少しだけなので特に問題はなかった。
すぐF5の雄雌の二俣の滝がでてくる。どちらも大きくて素晴らしい。
ここの巻きが、このルートの核心と言われていて、実際に巻いてみると確かに悪い。雄雌の間の凹角を直登する。ロープを出してIさんが空身で取付く。凹角に入る一歩と途中リングボルトが打ってある箇所がやや渋い。リングボルトの箇所は左に肩が入る、とアドバイスを受けて登るが、よくわからなかった。やはりゴボウで登る。(補足:左側の岩のクラックに肩が入るので、フィストジャムならぬショルダージャムのように肩をはめながら右側を一段上がれば登れる) ピッチを切ったところはやや広いテラスになっていた。次は野田さんがリードしており、そこからつるべのようにロープを伸ばしながら巻き終わるまで3時間10分かかった。結果論で言えば、ロープは1ピッチ目(せいぜい2ピッチ)だけで良かったかも。

<F5〜>
メインが終わり安心して進むが次々と滝が出てくる。F7、F8は左岸巻き(F7は登れたっぽい)。F10、8mは左のルンゼ上を巻いたが、1箇所かぶっていて野田さんのリードでザイルを出して登った。手は全部ガバなので分かっていればなんともないかな。ただ、この上では支点をとれるところが少なく、結局F11までまとめて巻いてしまうことに。

ゴルジュ出口にあるF12、3段8mは簡単そうに見えたのでロープを着けず、Iさんは右、私は左に行ってみたが私はダメ。Iさんは下段の水流右を直登、中段で水流を渡りびしょびしょになりながら左のクラック状をフリーで登ってくれた。やや渋く一応上からロープを出してくれたが、野田さんはフリーで越えていた。上段は水流真ん中を問題なく登れる。

<F13〜>
F13は登れそうな気もしたが、時間も押していたので右岸枝沢から巻き(この枝沢の下にテン場あり)。10m懸垂との記録があったが、落ち口にジャストで巻くことができた。(一応トラバースでロープを出したが、出さなくても問題ないでしょう)
巻き終わると右岸から枝沢が入りF14。枝沢側から6,7mの高さでバンドが伸びており、このバンドに沿って、出っ張った岩を四つん這いでかわして(ここがやや渋い)取着き登る。まずIさんがフリーで行き、ザックを下ろしてロープを出す・・・のかと思ったら出さずにパンを食べ始めた。ひどい。その間に後続のSさんが滑るバンド上でセミになってしまい、慌てて後続3人にロープを下ろす。 F15付近は、もはや滝なのか急斜面なのかよく分からない位の斜度で高度を上げていく。そして振り返ると木曽駒。
F16、20mの手前で水を汲み、左岸の涸沢から越えると水涸れだった。(F16は登れそうな気もする、と思って他の記録を見たら、やっぱり登っている記録もあった。)
ここから先、三ノ沢岳を目指す予定だったが、時間が押しているので1540mで左の沢筋に入る。最後はハイマツ帯となったが、背が低いので問題なく、左上しながら1735mで登山道にでた。

さてここからが勝負。ロープウェイの最終が16時30分、ここで14時55分、エリアマップで三ノ沢岳からロープウェイまで2.5時間。Sさんは膝に爆弾を抱えているので無理が効かないがみんな頑張った。 まっ、最終の数分前に到着でき一安心。混雑しているせいで、到着から40分待った(結局最終のロープウェイだった)。