錫杖左方カンテ
2014年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバー牛山、植田
日程:2014年7月20〜21日

19日夜、南浦和駅集合、牛山車で新穂高温泉槍見の駐車場へ。車中泊。

20日、曇り午後時々雨。8時出発、10時錫杖沢出合。天場を偵察し、あまり快適そうでないので、クリヤの岩舎に移動してテントを張る。クリヤの岩舎の裏から3ルンゼ方面に続く踏み跡を偵察。結局道は無く、ほとんど藪こぎ。どん詰まりに急傾斜の大きなルンゼを伴う壁が立ちはだかる。(後に3ルンゼと判明。)この日はここで引き返す。岩舎から往復で1時間くらい歩いたように思う。

21日、天気晴れ。3時起床、4時30分発、昨日の藪漕ぎに懲りて錫杖沢を登る。ぬれた岩を普通の靴で登るのは所々怖い。5時30分前衛壁取り付き、休憩後左方カンテ取り付きに移動、まだ壁が濡れているようなので7時まで乾くのを待つ。
7時20分登攀開始。1ピッチ目、簡単なルンゼを40m、ペツルボルト2本の支点でビレイ(以降ビレイ点はすべてペツルボルト2本の支点があった。)2ピッチ目、さらに20m程上がりピナクルテラスまで。
3ピッチ目、調べた通りリングボルトの支点が除去されている。かつてのルートはボルト沿いに右上したはずだが、ボルトが無い。仕方なく、左上するクラックにカムを決めるが効いているのかとても不安。私には登れそうに無く、植田にトップを交代。彼はカムやブッシュにランニングを取って登ってくれた。上の支点を通り過ぎてビレイしたため、少しクライムダウンして松の木の横のピンでビレイ。
4ピッチ目、チムニーも植田に託す。濡れたチムニーだが、ホールドは思ったよりある。
5ピッチ目、牛山リードで左の垂壁を登る。かつてのボルト3本分くらい登ってからようやくカムを決めるクラックが現れる感じ。垂壁の上は、ルンゼからハーケンの残る岩を乗り越して広いテラスまで。
6ピッチ目、核心のチムニーから垂壁。植田リード。出だしはスリングでA1。その後は順調にロープを伸ばす。右側の壁も使える。最後の短い垂壁にはペツルボルトがあり、それにクリップしてから乗り越す。
7ピッチ目、細かいフェースが濡れている。微妙なムーブでだましだまし登り、後はルンゼ状をつめる。
8ピッチ目、20m程で広場に飛び出す。12時20分。なんとか5時間で登れた。
しばらく景色を楽しみつつ休憩。13時下降開始。ビレイ点がすべて下降支点として使えるのに加えて、カラビナも付いていたので快適に下れた。しかし、6ピッチ目の下降の時、ルンゼに挟まったぐらぐらするチョックストーンにロープが引っかかり、登り返して外す羽目になった。2,3ピッチ目をつなげて全6ピッチの懸垂で下りた。15時取り付き。
その後は1ルンゼ方面も見ようということで、壁沿いを奥に歩き、1ルンゼ取り付きを過ぎ、やや濃くなった藪を過ぎてルンゼを少し上がると昨日来た3ルンゼ取り付きに着いた。そこから藪の中を下り、15時40分頃テント着。
撤収し16時発、17時少し前に駐車場に下山。結局、壁はおろか登山道でも誰にも会わず、貸切でした。 温泉は、奥飛騨薬師の湯本陣¥500に入った。良い湯でした。

使用装備は、キャメロット0.3〜3番相当までを2セット。0.5〜3を主に使用した。ナッツとハーケン・ハンマーは持って行ったが使用せず。

感想
ナチュプロとなった左方カンテ、大変厳しいルートに変貌していた。セカンドは問題ないが、リードは厳しい。しかし、登るうちに徐々に慣れてきたような気がする。植田君にだいぶ頑張ってもらって何とか登ることができた。私はトレーニング不足。 (記 牛山)


基部から見た左方カンテ


取り付きから1ピッチ目


4ピッチ目のチムニーを登る植田


5ピッチ目を登る牛山



6ピッチ目を登る植田


7ピッチ目を登る牛山


終了点