清津川・棒沢
2012年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバー:西野(記録)、錦織、小野寺、佐々木夫妻、牛山
日程:2012年7月14日〜16日

棒沢は、苗場山に突き上げる清津川の支流である。「上信越の谷105ルート」に紹介がなく、登山大系にも3〜4行程度の解説しかない。サイトで山行記録を検索するといくつか出て来たので、一応登られている(そしてそれなりに楽しい)沢らしい。棒沢を遡行し、山の秘湯・赤湯に下山する2泊3日の余裕の行程で計画をした。

7月14日(曇り)
車止めゲート11:20…棒沢入渓点12:20…1050m地点16:00
当日朝7時に東所沢駅に集合し、さらに7:30過ぎに三芳SAで牛山さんと合流し、車2台で登山口へ。交通渋滞などもあり、11時頃に車止めゲートに到着。前日までの雨のせいで、清津川は茶色い濁流になっている。本当に沢が登れるのか一抹の不安を抱えつつ歩き始めた。
鉄橋を渡り、棒沢の入渓点へ。水量はやはりそれなりに多そうだが、登れないほどひどくはないようなので遡行開始。はじめに堰堤を左側から巻くとすぐ、釜を持った小滝が出てくる。釜の手前右壁に残置ロープがあるが、いきなりしょっぱい登り。錦織さんが登り、後続をロープで引き上げてくれた。沢の両側は切り立った岩、薄暗い。しばらく進むと、釜を持った滑り台のようなナメ滝が登場。釜が増水して深そうで、しかも水が非常に冷たいので右側から巻くことにした。…が、この高巻きが(西野にとっては)非常に渋く、ズルズルの泥壁。どうにも進めなくなって、「ロープ出してください…」。かなり高く巻き、懸垂2ピッチで沢に戻ることができたが、ここで時間切れ。少し高いところにごく小さな幕営可能なスペースを見つけ、ツェルトとタープを張った。入山祝で持って来た酒をほぼ飲み尽くし、20時就寝。

7月15日
1050地点5:20…奥の二俣(1398m地点)11:30…稜線(1850m地点)15:45(16:15出発)…赤湯温泉19:30
4時起床、5時20分出発。ゴーロを歩いていくうちに、2段7mの滝が現れる。残置ロープがいくつも張られている右壁から巻く。ロープもあるし楽勝だろうと思ったら、これも案外に悪い。残置ロープが少し古びたトラロープなのも恐怖感を煽る。しかし、ロープにしたがって登り、あとは明瞭な踏み跡を辿れば沢に戻れた。
この滝を過ぎると明るく広々したナメが続く。歩き始めは雨だったが、次第に止み、このあたりでは薄日も射していた。ナメが終わるとひたすらゴーロ歩き。倒木も多く歩きづらいところもある。知らない間に上ユウビツ倉沢の分岐を過ぎ、奥の二俣(「山と高原地図」によると、この二俣の右が横通沢、左はお花畑沢と書かれている)を左に進む。
ここからはツッパリを交えて登る2段7mの滝など、適度に登れる小滝がいくつも続き、ロープも使いつつ気持ちよく登る。しばらく歩くと雪渓が現れる。一カ所スノーブリッジを走って抜けるところもあった。いくつか現れる二俣はすべて左に進路を取る。途中から雪渓はなくなり、水量も減ってくるが、少し渋い滝の登りもあり、なかなか気が抜けない。途中で沢から離れ稜線に向かう。登りにくいガレた斜面、さらに笹と灌木の薮を十数分進み、稜線に出ることができた。
あとは登山道を下るだけなのだが、長い。「●合目」と書かれた杭がところどころに立っているのを励みにひたすら下り、赤湯温泉に到着したときには日が暮れていた。露天風呂に浸かって汗を流し、宴会。14時間行動で疲労困憊、食欲もあまりない…とはいえ酒はそれなりに進む。22時ごろ就寝。

7月16日
赤湯温泉6:50…棒沢入渓点8:30…車止めゲート9:15
5時起床、6時50分出発。今日は車止めゲートに戻るだけ。…なのだが、いきなり急な登り、しかも道が細かったり崩れ気味だったりでやや悪い。前日の疲れが抜け切れていない身にはつらい道のりだ。見返りの松(4合半)まではずっと登りが続き、そこからはしばらく平坦な道が続き、鷹ノ巣峠から先はどんどん下っていく。行きに通過した棒沢の入渓点にたどり着き、あとは来た道を戻ってゲートへ到着。猿ケ京温泉「まんてん星の湯」で汗を流し、下山祝いをして帰途についた。

「余裕の行程で癒しの沢」と思って計画したが、2日目は14時間行動。登山道もかなり渋く、終わってみれば登りごたえのある充実した山行となった。天気予報はあまりよくなかったが、土日とも曇りときどき晴れ(途中通り雨あり)だったのが助かった。心残りはたき火ができなかったこと、そして釣った魚を食べることができなかったこと(笑)である。