常念〜槍〜鷲羽〜黒部ダム 沢と尾根をつないだ記録
2006年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
06年8月5日〜8月13日  
久留島 隆史 29(昭和山岳会)、 山田 隆 29(学習院大学あるける会OB)

計画
沢から尾根をはるばる歩き、また沢をおりていく。緑輝き、水が清らかな日本の夏山は、 このようなスタイルで縦横無尽に駆け抜けたい。4年前の南アルプスでは、三峰川〜仙丈岳〜大仙丈沢下降〜野呂川右俣〜大井川東俣下降〜雪投沢〜大井川西俣北俣下降〜魚無沢と繋ぎ、最後荒川岳〜聖岳を縦走後下山した。9日間の思い出深い沢旅であった。他にも、北海道や上信越でこれに似た山行を行ったが、いつかは北アルプスを舞台にと思っていた。

 北アルプスは、見方によっては整備しつくされており、自分たちの山登りを実践する舞台としては他の山域に劣るかもしれない。しかし、探せば自然のままのルートもまだ多数あり、それらを組み合わせることで、日本で最も長く、高く、美しく、魅力ある自分たちだけのトレッキングルートが引ける可能性がある。それは、北アルプスが、標高、規模、著名度の3点からみた時、まぎれもなく日本一の山脈だからだ。

 昨年夏、会のメンバーと記録を見かけない梓川上流に入り、一の俣谷や岳沢本流〜蝶ヶ岳等を登った。そのとき、ここから湯俣川経由黒部へという案が浮かび、今年の6月には具体的な計画となった。当初は、烏川本沢〜一の俣支流下降後、尾根越えで二の俣谷に入り、そこから貧乏沢〜天上沢〜湯俣川モミ沢〜ワリモ沢〜黒部東沢〜御山谷〜立山という長大な計画。パートナーは、誘うと一発返事でOKした山田。南アルプスで一緒だったが、考えてみると彼と沢に行くのはあの時以来だ。共に20歳代最後の夏山縦走となるだろう。思う存分楽しみたい。

 長引く梅雨の被害と烏川が1本目の沢としては急であることから、入山は常念の一般道である一の沢で妥協。また、奥黒部ヒュッテから先が豪雨のため道が崩壊。復旧に向かっているが、まだ通れずとのこと。一週間後には通行可能になっていることを信じ、とりあえず出発にこぎつけた。

   入山
8月5日(晴れ)
今年の梅雨は、各地に大きな被害をもたらした。そのため、当初考えていた烏川本沢沿いの林道は歩行者も通行止め。一の沢林道も1週間前に歩行者のみ通行可能になったが、冬季ゲートのあるいこいの広場から、5kmの歩きが加わった。今日は、一の沢沿いの登山道を歩くだけだが、太陽光に照らされたアスファルトの道は体にこたえ、2人ともバテバテの入山となる。明日以降に不安があるが、天気はよく星がとても綺麗な一夜であった。入山前は興奮状態で寝付けず今日こそはよく寝ようと思ったが、周りのテントが夜中うるさく、今日も熟睡とはいかなかった。

* いこいの広場11:00 ヒエ平12:30〜13:00 大滝ベンチ14:30 常念小屋17:30

中山峠越え
8月6日(晴れ)
 一の俣谷は去年下から登ったが、登山道は現存せず、沢になるべく忠実につめることで、下部は楽しい滝登りができる。アプローチが短く、藪漕ぎもない、沢&縦走派にはお薦めの沢である。今年は、この沢の上部を二の俣谷へのアプローチとして使う。  降り口は、小屋の目の前から。目の前過ぎて逆にわかりづらい。何か悪いことでもしているように、去年の記憶を頼りに急ぎ足で藪の中に姿を消す。2300m地点に小屋の貯水タンクがあり、そこまでは明瞭な踏み跡がある。その後沢に入るが、問題となる所は全くない。

 2110m付近から支流を登り返すが、入口が多少藪に埋もれていて分かりづらい。何本か小さな沢がありどれでもいけそうだが、一番流れのある沢を行く。途中二俣となっており左に行くが、コルより大分左に出てしまい、トラバースしてコルに出た。このコルは、一の俣谷と二の俣谷の中間尾根の2269m地点で、帰ってからたまたま「岳人」の最新号でこの尾根の冬の記録を見つけ、この尾根が二の俣尾根と呼ばれていること、このコルは中山峠ということを知った。といっても何も無い所で、かろうじて常念から東天井の稜線を望むことができる。

 ここから真っ直ぐ二の俣谷に下るが、この沢は峠沢と呼ばれる。峠沢の下り始めは急で滑りやすく、何度も転んだせいで手が傷だらけになってしまった。驚いたことに、2100m付近で木に赤いテープが巻いてあり、そこには京都の山岳会の名前と「2005年9月18日、引き返し地点」と記されていた。かなりの人数で往復したのか、そこからは登山道並みの道と赤布のべたうちで、なんなく二の俣谷に出ることができた。昨日より体調もよく、無事にアプローチが終わったことで、ほっと一息つく。

梓川・二の俣谷
 峠沢を下る途中、ヒュッテ西岳とそれにむけて突き上げる2本の豪快で美しい沢が見えた。あの沢が登れたらかっこいいなあと思いながら眺める。これらの沢を左にわけた所から、二の俣谷は断続したスノーブリッジ帯に入る。山田は初体験。久留島も経験値は多くない。神経を使いながら、1つずつ越えていく。1つ目と2つ目の雪渓は厚みもあり、上を歩く。2000m地点で右に2条の滝をわけると、3つ目の雪渓。これは崩壊寸前。真ん中が極端に薄く、右隅を歩いた後最後は割れた所を下に降りてそっと潜り抜ける。今回初めて出合う滝らしい滝(7m)を右から高巻き、半分崩壊している4つ目のスノーブリッジの隙間を縫うと連瀑帯の下に出た。

ここで、思わぬ順番待ちを強いられる。下から猿の大群がやってきたのだ。その数20頭以上。我々のことなど目にもとめずに、右から左から大量の石を落としながら越えていく。絶壁で子供を背負ったままダブルダイノで越えていく彼らを見て、彼らには到底かなうまいと思った。

30分以上待ってから出発。最初の6m滝は左壁を登るが、我々は荷物が重く荷揚げをした。続く2本の滝は左からまとめて巻く。この上が2250m三俣。真ん中の本流を20m程進んだ所でテントを張る。あまり広くはないが、流木も沢山あり快適な場所である。久しぶりに良く寝れた。

* 常念小屋4:30 東天井岳との二股5:30 2110m付近6:40  中山峠8:10 二の俣谷本流10:20 2000m付近12:00
2066m二股13:00 連瀑帯手前14:30〜15:10 
2250m三俣16:30

8月7日(晴れのち雷雨)
 三俣に戻り水量の一番少ない左俣に入る。すぐに小さな二股となり左に進むと、たいした藪漕ぎも無く貧乏沢の降り口の道標まで10歩の所にでた。

  二の俣谷は、梓川の本流にあたる。上高地から横尾でいつも目にするままの、穏やかでやさしい印象の沢であった。北鎌のアプローチに貧乏沢を使うなら、そこまでの一風変わったルートとして、横尾から二の俣谷をつめるのもおもしろいかもしれない。

水俣川・貧乏沢下降〜天上沢〜東鎌尾根〜西鎌尾根〜双六小屋
 貧乏沢下降点で渓流シューズを脱ぎ登山靴に履き替える。まだ朝早いが、雲の増え方が気になる。ここから双六小屋までは登山靴の世界だ。貧乏沢は北鎌のアプローチだけあって、予想以上に整備されている。入口に大きな道標、要所には赤布、ロープがあり、天上沢に出るまでしっかりした踏み跡がついていて、登山道と大差ない。2人とも時期は違うが高瀬ダムから北鎌へは行ったことがあるが、そちらの道とは雲泥の差である。

 天上沢は大きな沢なのに、それ自体は驚くほど水量がない。貧乏沢、北鎌沢、間ノ沢の出合にだけ水を蓄えており、その他は涸れ沢である。間ノ沢出合の上部まで行くが水が無くなり、結局間ノ沢出合いにテントを張った。間ノ沢は水量豊かな美しい沢で、むしろこちらを登りたくなる。  貧乏沢の下りで山田が熱中症気味になるが、テント場付近で全身水浴したら元気になった。久留島も朝打撲したところをアイシングしておく。間ノ沢出合はいくらでも幕営可能な広い場所で、ゆっくりと休むことができた。3時すぎに雷雨となった。

* 出発5:30 貧乏沢下降点7:00〜7:30 天上沢9:30〜10:00  北鎌沢出合10:30 間ノ沢出合11:30(このあと2030m付近までいくが 水が無く引き返す。13:00)

8月8日(晴れ)
 がらがらの涸れ沢を登ると傾斜の増してきた2200m付近から雪渓となる。左にも雪渓をわけると、更に傾斜が増し、バイルのピックを使う場面もでてくる。本当はこのあたりで左の尾根に逃げるようだが、雪渓を端までつめてしまい、思ったより悪い草付のトラバースを強いられた。尾根には道や赤布がついていて一安心だが、かなり急な道で、これを下る場合北鎌のアプローチとしては貧乏沢より少し上だろう。

 貧乏沢、天上沢ともに水に漬かることも無いので沢という感じはあまりせず、北鎌へのアプローチだから通るというが一般的だが、槍を高くに見上げながら歩くロケーションは素晴らしく、今回のように黒部までの旅の一部と捉えた場合とてもよいトレッキングコースであった。

 今夜台風がくるという情報を山小屋で得たのと、今日は雷雨がなさそうなので、がんばって今日中に双六まで行くことにする。尾根だけを歩くと徐々に退屈になったり、沢だけを歩くとだんだん風が恋しくなってきたりもするが、今回の様に沢から稜線にでると尾根歩きがまた一段と楽しい。東鎌から西鎌へ、快適な稜線漫歩であった。午後、槍の山頂付近だけはずっとガスっていた。

* 出発5:00 水俣乗越7:30〜8:00 槍ヶ岳山荘11:30〜12:30 双六小屋16:30

湯俣川・樅沢下降〜ワリモ沢
8月9日(晴れ)
 昨夜の予報ではこれから2日間は大雨とのことで湯俣川は諦めかけていたが、実際は台風の進路が予想より東にそれたため、一度も雨に降られること無く、明け方には台風は東の海上に抜けてしまった。今日は休めると信じていた体に鞭打って、急遽出発。昨日、久留島は小屋についた後、18時ごろまで沢の下り口を偵察していたので、朝から体がとても重い。

 双六小屋の目の前からモミ沢を降りる予定でいたが、前日の偵察で小屋の汚水をこの沢に流していることが発覚。臭くて通れたものではない。(ひどい話だが、そのおかげで湯俣川には魚が多いと聞く。)1時間程遠回りになるが、三俣山荘へのトラバース道の中ほどから樅沢を下る。樅沢は湯俣川の本流にあたり、最初から水量豊かな沢である。明け方まで覆っていた霧もすっかり晴れ、飛び石伝いの楽しい下降となる。 硫黄沢はあちらこちらに噴煙をあげ、物凄い景観だ。西鎌尾根を歩いていた時も硫黄の臭いが風に乗って漂っていたが、ここはその真只中。ときどき水も温かく、秘境を感じる。

徒渉もだんだんと本格的になり、この先行けるのだろうかと不安を覚え始めた時、この山行中唯一、沢の中で他パーティーとすれ違った。ガイド2人と客3人で湯俣から来たとのこと。「去年来た時より水量が多く、下のほうで2回ロープを使ったが、ワリモ沢出合までなら徒渉は腰まで、問題ない。」と教えられ気持ちが楽になる。情報の有無でどれだけ山の難しさが違うかを痛感する。

硫黄東沢には温かい湯が沢山流れており、足湯などして楽しむ。出合とその奥には知る人ぞ知る立派な温泉が掘られているらしいが、今回は事前の情報不足で逃してしまった。帰ってからネットでチェックしたが、かなりいい温泉のようであった。 赤沢出合付近は先のガイドに教わったとおり左岸を高巻いていくと楽に突破できた。その後、数回の徒渉を慎重にこなし、ワリモ沢対岸につく。

しかし、今回の山行で一番苦労したのは実はここからだった。最初ワリモ沢出合上流で徒渉するが、ワリモ沢右岸の通過は厳しく、左岸に徒渉することもできないので一度引き返す。次にワリモ沢出合下流で徒渉し最初から左岸に入ろうと試みるが、上から見て簡単に見えた所が意外と急流で渡れない。結局最初行ったワリモ沢右岸の狭いバンドをロープ使用で荷揚げした後、少し上の流れの緩い所で徒渉、左岸の高台にテントを張った。この作業に2時間以上を費やした。

* 出発5:00 樅沢下降開始6:00 ヤスケ沢出合8:00  モミ沢出合10:00 硫黄沢出合12:00〜13:00  ワリモ沢出合対岸15:00 ワリモ沢出合左岸17:15

8月10日(快晴)
 ワリモ沢に入ると、厳しい徒渉はもうない。1733mまでは水量豊富な楽しい沢登り。そこからは広い河原が続くが、バックが槍ヶ岳なのがいい。また誰もいない静かな沢旅である。今朝は、今回の山行中一番寒かった。朝長袖で歩き続けたのはこの日だけだ。理由はこの上の雪の量を見てわかった。  標高2000m。大雪渓が始まった。雪渓がいったん切れた所で水を汲み、その先で沢が左に大きくカーブすると雪渓の全容が明らかになる。昨日ガイドに、ワリモ沢は毎年雪渓があるよと聞いたがここまでとは思わなかった。標高差400mにわたってびっしりと雪がついている。翌日、東沢乗越付近からこの雪渓が大きく見えたが、それでも全て見えているわけではない。傾斜は剣や白馬の雪渓とさほど変わらない。 標高2200m付近には落差70mの大滝が落ちていて、しばらく見惚れてしまう。ここから200mは傾斜も多少増して、快適に高度を稼ぐ。雪渓が終わった所で5mの滝を越え、右の沢をつめるといきなり傾斜が落ち、鷲羽岳東面のカールにでた。満開の花が咲き乱れるこの小さなカールは、いつまでいても飽きることが無い。今日は三俣山荘まで行くつもりだったが、天気も良く、あまりに素敵な場所なので、少し早いがここにテントを張ることにした。

* 出発5:00 2006m二俣8:00 70m大滝9:30〜10:30 5m滝11:30 鷲羽岳東面カール12:30

8月11日(晴れ)
 朝、歩いて3分の水場に山田が水を汲みに行くが、昨日はなかった所に大きな熊の糞があったという。熊の方は、我々に気づいたのだろうか…。 鷲羽岳と2813m峰のコルまで一登り。背後には槍穂や笠、真下に鷲羽池、南と西の展望が一気に開ける。足が痛いので池から登山道経由で行きたいという山田と別れ、1人尾根伝いに山頂を目指す。2850m程の小ピークを越えると右側がすっぱり切れた尾根となり風が心地よい。途中のちょっとした岩場を左から越えていくと、ハイカーが憩う鷲羽岳山頂に直接顔をだすことができた。山田が着くより15分早かった。

 湯俣川本流の徒渉、硫黄沢付近の源泉、槍を背にしての遡行、大雪渓、大滝、つめのカール、鷲羽岳山頂での絶景…。樅沢〜ワリモ沢は、難しい滝やゴルジュこそ無いが、それ以上の魅力を持つ秀渓であった。3000m近い山の頂に直接顔を出せるという意味でも、大変に希少価値のある沢である。

黒部川・東沢下降〜黒部湖
 入山前、奥黒部ヒュッテから先の登山道が通れないと聞いていたのでどんな様子か不安であったが、水晶小屋で聞くと、もう通れるとのこと。安心する。水晶小屋のベンチからは、これから下る東沢の全景が見える。その先には、目指す黒部湖がきらきらと輝いている。今夜から天気が崩れるとのことで、疲れてはいるが今日中に奥黒部ヒュッテに着きたい。東沢乗越で、鷲羽、槍、そして遠く常念に別れを告げる。東沢上部は明瞭な踏み跡をたどる。雪渓も意外と少なく、全て脇を通過する。2300mくらいまで一気に下るが、その後単調すぎてばててくる。長かった沢で靴もボロボロになっており、歩きにくい。一の沢をわけると水量も増え、その下の徒渉で山田が流されかける。幸い足がそばの岩に挟まり軽い捻挫ですむが、ヒヤッとした。

 右岸を進むがゴルジュの高巻きに想像以上の時間をとられ、暗くなる寸前奥黒部ヒュッテの目の前の沢(志水哲也氏著の「黒部へ」で「一ノ瀬谷」と名づけられている沢)沿いに快適なテント場を見つけた。

* 出発5:15 鷲羽岳7:30〜8:00 水晶小屋9:30〜10:10 

東沢乗越10:45 三の沢出合15:00 一の沢出合17:00 一ノ瀬谷出合19:00

8月12日(晴れ一時雷雨)
 朝激しい雷雨があるが、出発前に止む。持ってきた古い地図と資料にはここで対岸に渡る橋があるが、探しても無く、徒渉も厳しいので、登山道に合流するまでこのまま右岸を高巻くことにする。東沢は年によって沢の様子が大きく変わるそうだ。登山道の橋がある所にぴったり出て終了した。

 これ程の距離をほぼ一直線に下る沢も珍しい。これをただ単調と捕らえるか、この沢の長さに旅のロマンを感じるかは人それぞれだろう。私の場合は、下っているときはその長さに多少嫌気が差したものの、今となってはこの長い旅の終わりがこれまた長い東沢であってよかったと思っている。有名な沢である割に誰と会うことも無く、旅の最後を静かに締めくくってくれた沢であった。  

平の渡しで舟を待つ間ひどい雷雨となるが、雨を避ける場所も無くずぶ濡れになる。水平道は、昔は本当に水平だったが年々途中の沢の高巻きが増えアップダウンが激しくなっているとのこと。そういえば、昔何度かきているが今回ほどは大変でなかった気がする。遅くなったためロッジくろよんの前でテントを張るが、ここまでくるとハイヒールの人はいるしダムのアナウンスは聞こえるしで、このボロボロの体で更に立山を越える気はおきず、翌日下山した。

* 出発7:20 登山道8:00〜8:30 平ノ渡し11:00〜12:30
平ノ小屋発13:10 ロッジくろよん16:40〜13日10:00 黒部ダム10:30

 天気に恵まれ、実質8日間で常念〜黒部湖まで、ほぼ予定通りに歩くことができた。道の無い山を歩くと自然の中にいることが実感できるので、とても好きだ。また、今回、道が無い所からある所にでた時、道の存在に対する有難みも改めて感じることができた。誰でも楽しめるように北アルプスの登山道が整備されていることは、感謝すべきことであると思う。北アルプスから山にのめりこんでいく登山者が、自分も含めどれだけいることか。北アルプスは、初心者から上級者までが楽しめる自然のフィールドである。その中に自分たちで立案、決行した1本の長いラインが引けたことで、今回は非常に満足感の高い山行であった。

                              記 久留島隆史