前穂東壁・屏風岩
1999年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
日 時:1999年8月7日〜15日
メンバ:堀内・久留島・浜野・小野寺

8月7日(土) 晴れ (堀内・久留島) 入山

35kgをこえる荷物。ギラギラ照りつける太陽。歩き出して2時間、徳沢で思わず ビールをあける。新村橋の先の茂みに、合宿後半に備え更に6缶のビールをデポし多少 軽くなるが、中畠新道の登りは予想以上に急で、バテバテの入山になった。

* 7:20上高地 9:30徳沢 12:30松高ルンゼ出合 18:30奥又白池BC

8月8日(日) 快晴 (堀内・久留島) 停滞

 昨日の疲れをとるために停滞。しかも快晴。前穂東壁を正面に眺めながら池のほと りで静かに過ごす。とても贅沢な1日だ。昨日あった数張りのテントは全てなくなり、 かわりに岩場の方から声が聞こえる。池の水は綺麗とは言えないが、沸かせば飲める。 去年の大規模地震の影響かB沢では頻繁に落石があり、右岩稜やDフェースは一部大規 模に岩が剥がれ表面が青白い。昼過ぎに、偵察に出る。正面の道は途中に巨大な雪渓が あり運動靴ではとても渡れないので、X・Yのコルへの踏み跡から取り付くことにする。

8月9日(月) 快晴 (堀内・久留島) W峰正面壁・北条=新村ルート 
(小野寺) 入山

 今日の岩場は貸し切り。C沢まで道が悪い。ルート下部はピンが少なく岩も脆いの で、神経を使う。常にB沢では落石があり、時には大人5人分くらいの大岩が落ちて いく。この岩場は恐怖感を強く感じる。ハイマツテラス上部の核心ピッチはアブミの 掛けかえで簡単。むしろその次のピッチが、身体が空間に浮き出て怖い。最終ピッチの 途中で槍ヶ岳が見えて感激。

* 4:45BC発 7:30取付 15:00終了 15:30北尾根上 17:00X・Yのコル 18:30BC

8月10日(火) 晴れ  (堀内・久留島・小野寺) A沢〜前穂高岳  

 岩は脆いので中止して、A沢から前穂高山頂を往復する。A沢は、東壁の下降ルート として使われる沢である。軽い気持ちで考えていたが、雪渓あり、浮石あり、軽い岩登 りありで、変化に富んでいておもしろかった。

* 8:10BC発 11:00前穂高岳 12:00発 13:30BC

8月11日(水) 晴れ時々曇り (堀内・久留島) 移動 (小野寺) 下山  (浜野) 入山

 屏風への移動日。横尾では小野寺さんにビールをご馳走になる。更に、浜野さんが ビール6L、ウイスキー、メロン、ナシをもって入山。横尾に新たにBCを設ける。

8月12日(木) 曇りのち雨 (堀内・久留島・浜野) 蒼稜ルート1ピッチ敗退

 「来てはいけない所に来てしまったのではないか」岩を登り始めてそう思った。足 をがくがくさせて岩にしがみついているのは僕らだけ。周りは慣れた手つきでするする と上がっていく。必死の思いでT4にたどり着いたのは、大幅に予定をオーバーした9 時だった。
緑ルートに行く予定だったが、予定を変更して蒼稜に取り付く。しかし、1ピッチ 登ったところで雨が降ってきた。T4に戻りビバークのつもりでしばらく待機するが、 雨は激しくなる一方なので下降する。

* 4:30BC発 6:30T4尾根取付 9:00T4 10:40蒼稜取付 12:00下降開始  12:30T4待機 16:00下降開始 18:30BC

8月13日(金) 曇りのち雨 (堀内・久留島・浜野) 停滞 

8月14日(土) 曇りのち雨 (堀内・久留島・浜野) 鵬翔ルート2ピッチ敗退  

 朝早く出発。T4尾根も2度目になると、少し簡単に感じる。T4からの取り付き方 がよく分からず、いつのまにかルートに入ったのでそこにビレイ点を作る。緑ルートを 登るパーティーがちょうど青白ハングを越えようとしていて、美しく見える。2ピッチ 目に取り付く頃から雨が本降りになり、ビレイをしている間にずぶ濡れになる。夏とは 思えないほど寒く、大テラスより早々に撤退。

* 2:30BC発 4:30T4尾根取付 6:45T4 7:10鵬翔取付 11:30大テラス  12:00下降開始 16:00BC

8月15日(日) 雨 (堀内・久留島・浜野) 下山

 屏風に課題を残し、合宿終了。

* 8:40BC発 11:30上高地 
                                (記、久留島)