巻機山〜白毛門
2024年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバーNN(記録)、NK 、KR
期間:2024年5月3日〜5日


5月3日
桜坂駐車場9:10…巻機山14:45…1928ピーク付近15:10(幕営)
5月4日
幕営地5:00…米子頭山7:30…柄沢山10:40…檜倉山14:15(幕営)
5月5日
檜倉山4:50…大烏帽子山7:40…ジャンクションピーク10:00(10:30出発)…朝日岳11:00…笠ヶ岳12:50…白毛門14:20…土合駅18:00

書籍「奥利根の山と谷」、残雪期の主稜線の縦走路として紹介をされていた白毛門から巻機山へのルート。最もポピュラーなコースと紹介され、残雪期に歩かれている記録も多い。今年は雪の少ない年であることに少しの不安を感じつつ、かつて一緒に残雪期の奥利根を歩いたメンバーに声をかけて山行が実現した。

5月3日(晴れ)
電車を乗り継ぎ、8:23に六日町駅に到着。タクシーで桜坂駐車場まで入る。登山口に全く雪はない。駐車場にはぎっしりと車が停まっていた。
この日は登山道利用で巻機山まで。歩き始めから気温が高く、暑い。テント泊装備のザックが重く、すれ違う日帰り登山の軽装が羨ましくて仕方ない。5合目を過ぎ、6合目手前あたりでようやく雪が現れるが、その後も雪のない登山道を歩く場面が多い。雪解け水が登山道を流れて沢のようになっているところもある。
8合目あたりまで来ると、明日歩く主稜線がきれいに見渡せる。米子頭山、柄沢山、その先に朝日岳。山は黒々として、東側斜面に少し雪渓が残っているような感じ。明日以降はうまく雪渓を繋いで歩けるのか、どれだけ藪をこぐことになるのか、じんわりと不安が押し寄せる。一方で天気は申し分なく、主稜線の右側には谷川岳から続く上越国境稜線、平たい山容の苗場山、妙高・火打山まで見渡せている。美しい。
巻機山避難小屋で泊まることも考えたが、翌日の行動を考えると少しでも先に進んでおきたい。巻機山の山頂を過ぎ、1928ピークの手前のコルで行動終了とした。なだらかで広く、少し木々も出ていて風も防げる、最高のテン場。担ぎ上げた酒を飲み、明日の行動について検討をし、20時過ぎに就寝。


4合目付近、タムシバの花が咲いていた


6合目近くでようやく雪面に


明日歩く稜線。米子頭山、柄沢山などが見えている


巻機山山頂へ最後の登り


本日のテン場

5月4日(晴れ)
3時起床、5時出発。歩き始めからすでに明るい。最初はヤッケ上下を身につけていたが、暑くてすぐに脱ぐ。東側斜面の雪渓をつなぎながら、つながらないところは藪をこいで進んでいく。無雪期も歩かれているルートなので適度に踏み跡があるのではと思っていたが、あまりなく、笹や灌木の藪こぎが地味にしんどい。雪渓には少し前に歩いたらしい登山者のトレースがあって参考になるが、雪解けが進み歩けなくなっているところもあり、慎重に判断する。
見た目はたおやかなのに、藪をまじえた登りでなかなか辿り着かなかった米子頭山。アップダウンを繰り返し、手前の1809ピークを山頂と勘違いしてがっくりした柄沢山は、背丈ほどの笹の藪こぎにも苦慮したし、崩落している雪渓もちょっと怖かった。柄沢山からは快適に雪渓を下ることができ、これなら案外早く檜倉山に到着し、大烏帽子山手前のテン場候補まで伸ばせるのではないかと思ったが、檜倉山への登りで藪につかまる。背の高い笹とシャクナゲ、灌木の藪に苦慮。灌木を避け、なるべく笹の間を進もうとするが、なかなか進まない。
たどり着いた檜倉山は広々として美しい池塘もある。14時過ぎ、少し時間は早いがすでに9時間行動しているし、次のテン場まではまだだいぶかかりそうなので、ここで行動終了とする。一番いいところには、単独の登山者がすでにテントを張っていたので、少し離れた雪面を整地して幕営。担ぎ上げた缶ビールが染み渡る。明日はだいぶ行動時間が長くなるが、登山道に出れば快適に進めるのではないか。登山道に出るまでが勝負だ…と思いつつ、20時過ぎに就寝。


米子頭山への登り、雪渓を進む


柄沢山へ、ピークを巻きながら進む


柄沢山山頂付近


檜倉山山頂、広々として池塘が美しい

5月5日(晴れ)
3時起床、4時45分出発。檜倉山から雪渓通しに一気に下り、登り始めたところで笹と灌木の藪に。笹の背が高くしんどいが、若干踏み跡のようなものがある。しばらく格闘して再び東面の雪渓に戻りほっとする。早朝は雪も固まって歩きやすいのではないかと思っていたが、朝から気温が高く、昨日よりも雪がグサグサしている。
ところどころ短い藪こぎをして、かなり傾斜の強い雪壁状の斜面を登り切ると、大烏帽子山直下の平地に出た。昨日はここまで進めたらいいねと言っていた場所、たしかに幕営適地だったが、ここまで進めていたら夕方遅くになっていただろう。大烏帽子山の山頂付近は雪がなかったが、東面の雪渓を使って小さく巻くことができた。
大烏帽子山を過ぎるとジャンクションピークが大きくそびえているのが見える。稜線に雪がなく、手に嫌な汗をかく。雪渓を下り、細い稜線を藪こぎを交えて進むが、藪が多くなりそうなので途中でアイゼンをはずす。最後の登りはKRの絶妙なルートファインディングで雪渓を詰め、背の低い笹原へ。微妙についている踏み跡をたどりながら急斜面を登り切り、ジャンクションピークに到着。明確な登山道にホッとする。
ここからは一般登山道、藪をこぐこともなく、道も明確で歩きやすいだろう。…と思っていたが、連日の歩行で疲労も溜まり、それなりにアップダウンもあり距離も長い。朝日岳から笠ヶ岳へはだいぶ長く感じられたし、白毛門からの下り始めの岩場はこんなに悪かったかなと思いながら下った。朝日岳から白毛門までの区間はところどころに雪が残っている程度、白毛門も松の木沢の頭までに少し雪がある程度だった。
白毛門からの下りは急で長い。転倒しないように気をつけながら先を急ぎ、17:50に白毛門登山口に到着し、18:00土合駅到着。18:19の電車に乗ることができた。
楽しい残雪期の長距離縦走を…と思っていたが、実際には藪をこぐ場面が多く、好天で気温が高過ぎて体力を消耗した。連日の長時間行動で一同疲労困憊…ではあったが、先輩方の力を借りて、この時期ならではの充実した山行ができたと思う。


テン場から日の出を望む


大烏帽子山へ、下りはじめは雪渓で快適


大烏帽子山へ、灌木と笹の藪をこぐ


大烏帽子山への登り


ジャンクションピークに向かう


ジャンクションピークへ、笹原をひたすら登る


朝日岳山頂。ゴールまではまだ遠い…