丹後山から大水上山
2022年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバーNN(記録)、NK
期間:2022年5月2日(月)〜4日(木)

5月2日
三国川ダム上6:40…十字峡7:50…西尾根登山口10:25…ジャコの峰14:00…丹後山避難小屋17:50
5月3日
丹後山避難小屋にて停滞
5月4日
丹後山避難小屋5:40…大水上山6:30(7:00発)…1680m小ピーク付近8:00…大水上山9:30…丹後山避難小屋10:45…西尾根登山口14:00(14:30発)…十字峡16:40…三国川ダム上18:00

利根川の源流をぐるりと囲むように連なる稜線。2013年のゴールデンウイークに、丹後山から巻機山への縦走を行った。いつか、丹後山から尾瀬に抜ける稜線も歩いてみたいと思っていた。今冬は各地で積雪が多かったと聞いており、豊富な雪を利用して、残雪の稜線が歩けるのではないかと計画を立てた。

5月2日 晴れのちガス
前夜、六日町駅に集合。2013年のときと同様、駅の1階の待合室が利用でき、快適な一夜を過ごせた。朝6時に予約していたタクシーに乗車し、登山口に向かう。残雪のため十字峡までは入れず、三国川ダム上で下車。運転手さんは申し訳なさそうだったが、前回も同様だったので問題ない。

ダムから十字峡までの登山道は多少雪あり。
十字峡から西尾根登山口までの林道の残雪がだいぶ多く、傾斜のある雪の斜面をトラバースするのに最初数ピッチロープを使った。上からの落石や、雪解けで薄くなっている足元などにも注意を払いながら進み、だいぶ時間がかかる。
西尾根登山口からは夏道ががっつり出ていた。急な登りで息があがる。イワウチワやカタクリなどがあちこちに咲いているが、見る余裕はあまりない。天気がよく、眺望がよいのが嬉しいが、暑い。

ジャコ平の手前から雪山となる。ようやく歩きやすくなるかも…と思ったところで、急に雲が沸き、ガスに巻かれた。視界は50mくらいで、あまりよくない。ところどころに出ている笹ヤブなどを頼りに慎重に進む。
避難小屋手前、巻機山方面との分岐から丹後山に向かう方面に登山道が見えていてほっとする。視界はきかないが、登山道沿いに避難小屋があるはずと進み、無事に避難小屋発見。

避難小屋のトビラは板が架けられており、はずして入る。この日泊まったのは私たちだけ、というよりも、今年に入ってこの小屋に入ったのは私たちが最初だったらしい。

十字峡から栃ノ木橋への林道。大半が雪に埋もれている

ジャコ平への登りでようやく雪が出てきた

丹後山避難小屋

5月3日 ガスと雪、昼過ぎから晴れ
夜中からずっと風が強かった。4時半起床。風は強く視界も悪い。だんだん天気がよくなるという予報だったので、7時出発。しかし、丹後山を過ぎてすぐの地点でホワイトアウト。ヤブや樹木などが見えない一面の雪原で視界は30m程度。先に進むのは難しいと判断し、小屋に戻る。

12時ぐらいまで待って天気が回復すれば行けるところまで進もうと考えたが、12時を過ぎても風は強く視界は悪い。多少雪も降っている。停滞を決めた。
昼過ぎに地元の登山者が1名、避難小屋に入ってこられた。このあたりの山域のお話をうかがい、明日歩く予定のルートのこともいろいろと教えていただけた。ありがたい。

丹後山山頂。何も見えない。

小屋の前から中ノ岳(右)、八海山(左)を望む

八海山の左手に夕日が沈んでいった

5月4日 晴れ
4時起床、5時40分出発。天気よく、歩き始めは風があったがほどなくおさまった。前日に立ち往生したところも視界が利けばすんなり歩ける。途中に利根川水源の碑を確認。2012年の夏に利根川本谷を遡行し、この碑の前で写真を撮ったことを思い出す。

大水上山に到着。360度の展望を満喫する。すぐそばに中ノ岳が大きい。平ヶ岳に続く稜線もくっきりと見えている。眼下には利根川の源流。遠くに至仏山も眺められる。すばらしい景色にため息をつく。

改めて進む方向の尾根を確認。ヤブは多いが雪をつなぎながら歩けるのではないかと判断し、先に進むことにする。最初は快適な雪の下り斜面、しかし、1680m付近でヤブの出ている小ピークの通過に難儀。雪面のトラバースを試みたもののつながっておらず、藪山を登り返して尾根に戻る。

改めてこの先の雪とヤブの状況、行程の長さを考え、進むのは難しいのではないかと判断。往路を戻ることにする。

快適に下ってきた雪面をじわじわ登っていく。つらい。大水上山から避難小屋までもなぜか長く感じた。しかしながら、2日前にガスで何も見えなかった西尾根登山道上部はすばらしい景色で、こんなところを歩いてきていたのかと感動する。疲れを感じながらも順調に下っていたが、西尾根登山口まであと数十mの地点で転倒、左掌を流血。すぐそばに沢があってよかった。

往路で難儀した三国川沿いの林道を再び慎重に進み、十字峡へ。長い林道を歩いて三国川ダム上へ向かった。

前日の朝とは大違いの丹後山山頂

利根川水源の碑

大水上山山頂。360度の展望

進む予定の尾根が一望。平ヶ岳が遠くに見えている

下山時、八合から中ノ岳が見えた。左手奥は八海山

豊富な雪を利用して、残雪の稜線が歩けるのではないかと考えていたが、今年は冬の降雪は多かったものの、4月に気温の高い日が続いて雪解けが早かったようだ。沢筋には雪が多く残り、日当たりのよい稜線は雪解けが進んでいた。

目的の縦走は達成できなかったが、展望地や山頂から眺める山々は本当に美しく、連なる稜線を歩いてみたいと思った。まずは夏山から歩いてみよう。この山域のことをもっと知りたいと思う。