谷川岳一ノ倉沢 南稜・中央稜
2016年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバー西野、松邨
期間:2016年5月28日(土)〜29日(日)

昨年6月に、中央稜登攀〜北稜下降を植田としている。そのときは核心ピッチは植田に任せ、北稜の下降もすべて彼に仕切ってもらっていた。彼に任せ切りになったことを悔やんで1年。冬に南稜を登って一の倉沢デビューを果たした松邨に「夏の一の倉沢を登ってみないか」と声をかけ、山行が実現した。

5月28日(曇り)
4:00ロープウェイ駐車場…4:50一ノ倉沢出合(出発5:10)…6:30中央稜取付(登攀開始7:00)…11:30終了点(下降開始12:00)…懸垂終了15:30…一の倉沢出合17:00

前夜にロープウェイ駐車場に入り、3:30起床、4:00に駐車場を出発。
一の倉沢出合には既に雪は全くない。河原を歩きすぐに右岸の踏み跡をたどる。しばらく進み、雪渓に出る。雪渓はかなり薄くなっているようで、場所によっては水が流れる音が聞こえて怖い。ヒョングリの滝あたりは幅が狭いスノーブリッジ状になっていて、右側をどうどうと音をたてて水が流れていて怖い。予測していた以上に雪渓の状態が悪く、自然と急ぎ足になり、テールリッジの末端に取り付く。取り付きがなんとなくボロボロ、ザレザレで躊躇する。岩は乾いていた。フィックスロープは比較的新しいのがつけられていた。

奇数ピッチ松邨、偶数ピッチ西野。
彼に登るルートの解説をざっくりとし、昨年登ったルートを思い出しながら岩に取り付く。松邨が順調にロープを伸ばしていくのを微笑ましく眺める。核心の4ピッチ目、こんなに悪かったけと思いながら登り、最後のチムニーは数分躊躇し、右に赤いカムをひとつ噛ませて心を落ち着かせて一気に乗り越える。植田が「登れません!」と叫びながら登っていたのを思い出す。その後は順調に進めるが岩がもろい。階段状で簡単なはずの最終ピッチも浮き石が多くヒヤヒヤしながら終了点へ。

北稜下降は、踏み跡をたどって下り、ぴっかぴかのチェーンアンカーからスタートする。1ピッチ目は40m。下っていくと見覚えのある2ピッチ目の支点が見えてほっとする。2ピッチ目、からまったロープをほどくことに集中し過ぎたのと、「木に支点がある」と勘違いして、3ピッチ目の支点を見落として下り過ぎてしまった。10mほど登り返して岩場の支点へ。つらい。3ピッチ目は順調に下り、見覚えのある笹薮のなかの支点に。4ピッチ目、昨年はここで植田が間違えて登り返しをするはめになった。私は絶対に間違えない、正解は左下ではなくまっすぐだ。…そう思ったのに、進む方向を右に取り過ぎて、30m近く登り返すはめになった。とてもつらい。本当の正解は顕著な踏み跡をたどって下る。すぐに出てくる支点で1回切り、さらに笹薮からルンゼを下って木の支点へ。6ピッチ目、途中から空中懸垂。次の支点はうんと左にあるので注意が必要(まっすぐ下ったところに支点はない)。7ピッチ目、20mほどの懸垂は松邨にロープのセットをしてもらった。下り始める前に、これから歩く衝立前沢へのルートを確認する(ここから眺めると以後の下降ルートの全体がよく分かる)。

ここからは顕著な踏み跡をたどり、小さな雪渓を横切り、衝立前沢へ入る。昨年はところどころ雪が残っていたが、今年は全く雪が無く、むしろ歩きやすかったかもしれない。最後に懸垂1回。10mほどのぬめり滝はあいかわらずぬめっていて足が滑る。さらに下り、慎重に右側から雪渓に踏み込み、一気に一の倉沢まで下山。

まずは中央稜を無事に完登できたことを祝い、テントで宴会。嬉しくて、本当に嬉しくて飲み過ぎ、少々記憶がない。明日は南稜、核心ピッチも懸垂のロープセットも松邨にやってもらうのだ。(以上、西野記録)

5月29日(晴れ)
5:00一の倉沢出合…7:00南稜テラス(登攀開始7:40)…10:30終了点(下降開始11:00)…14:00南稜テラス…一の倉沢出合15:30…ロープウェイ駐車場17:00


テールリッジまで雪渓通しに歩く


北稜下降、6ピッチ目の空中懸垂


南稜1ピッチ目、大渋滞。