道東BCツアー(斜里岳1,547m、羅臼岳1,661m、海別岳1,419m、チトカニウシ1,445m、天塩岳1,557m)
2016年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバー佐々木正人 佐々木満喜与 野田 大橋 小柳穂 横山浩二 横山あゆ実 佐藤(会友)
期間: 2016年4月28日〜5月4日

【記録】横山
4/28(木)晴れ
 佐々木正 佐々木満 大橋 小柳 横山浩 横山あ 6人そろって成田11:35発バニラエアーで新千歳へ13:10着
千歳に着くと程なくして野田さん、佐藤さんが迎えに来てくれた。 野田車4人、佐藤車4人に分かれて今日の宿泊地、サロマ湖畔船長の家に向かう。 千歳から岩見沢経由で道央自動車道にはいり比布ICで旭川紋別自動車道へ。 終点の丸瀬布ICから下道でサロマ湖に18時頃に宿に到着。 各自宿に荷物を送っていたので荷物整理をした後、豪勢な夕食に満腹満腹!

部屋に戻り軽く酒を飲み、明日の斜里岳の予定など話し合いながら22時頃就寝。

4/29(金)雪(山は風雪)
5時半起床
各自荷物をまとめ野田車、佐藤車に積込み身支度を済ませて7時に朝から充実した朝食を頂く。 低気圧の通過に伴い今日から悪天の予報。 宿のくじ引きなどでお土産を頂くが物を受取る朝市が8時半から開店との事、開店後、物の郵送と海産物の買物などして出発時間が9時頃になってしまう。関東ではなかなかお目にかかれない新鮮な魚介類を前に我を忘れたんまり買込んでしまった。 サロマ湖畔から網走、斜里の町を通り斜里岳登山口の根北峠には10時半に到着。 駐車スペースは除雪されていて5,6台は駐車できようか。 スキーにシールを張り10時50分出発(490m)先行者、トレースなし。 雪が舞う中平坦な樹林を佐々木L先頭に進む。 初めて北海道BCデビューだ。しばらく行くと野田さんの熊よけのコールがかかる。そうだ羆だ。すでに冬眠から目覚め食糧を求めて彷徨い始めているとのこと。 700m地点に12時到着、段々風雪が強くなってきた。ここまでは樹林の中の緩やかな登りが続き750m辺りから徐々に尾根状になってくる。 気温は−1度位と思われるが風が強く体感的には−5、6度だろうか。 新雪の積雪は15〜20cm。 各自熊よけのコールや笛など吹きながら進む。 800m辺りで樹林が開けて傾斜も出てきた。帰りの滑降が楽しみだ。 風雪がいよいよ厳しく視界も悪くなり時間も13時と押してきた。 約940mで登高を打切り滑降することにする。 全員滑走準備が整い記念写真。

皆さんの華麗な滑りに横山浩、あゆ実は苦労しながら付いて行く。 去年のGW鳥海、月山以来のBCスキーでは致し方ないか。 新雪を皆それぞれ味わいながら14時15分駐車場に到着。 悪天にもかかわらずパウダーを味わえてなかなかの山行であった。 本日の泊まり場である西別小屋は悪天候と積雪で入ることが出来ず急遽 標津の海の公園キャンプ場に変更となった。 最大6人入りのキャビン(バンガロー?)を2棟借りる。 キャンプ場は海に面していて風が強かった。荷物整理の後、近くの温泉で汗を流し買出しへ。温泉、セイコーマート、セブンイレブン、スーパーなど近くにありなかなか便利な場所だ。 キャンプ場に戻り、今日のメインイベント!鹿肉BBQの開始だ!

野田さんの知り合いから分けて頂いた鹿肉。ロース、モモ肉は柔らかく癖もなく非常に美味しかった。野田さんに感謝。
明日の予定は羅臼岳だが知床横断道路が通行止めの可能性が高く天候も大荒れの予報。 とりあえず登りにいける態勢を整え10時半就寝。



4/30(土)強風雪
5時起床(とりあえず)
夜中強風でキャビンが唸り声を上げていた。 予報どおりの悪天、特に風が強い。佐々木Lより本日停滞とのお告げ。各自しばらくごろごろ過ごしお腹が減ってきたところで近くの喫茶店でブランチ。なかなか良いお店であった。 その後サーモンパークや野付半島など観光。 キャンプ場に戻り夕食は大橋さんたっての希望のカジカ鍋(サーモンパークで入手)非常に美味であった。

5/1(月)曇りのち晴れ
3時起床
本日の予定は海別岳(1,419m)。天候は回復に向かっている。 入山口が斜里側のため早出だ。荷物を積込み4時にキャンプ場を後にする。途中コンビニで朝食、行動食等買い込み、5時に峰浜からの入山口に到着。先行者、トレースなし。後から70代位の単独の方が来る。 準備を整え5時半出発。(212m) 畑の中を登り鹿よけのフェンスを通り林道を辿る。林道を離れ右手の尾根に乗り上げて行く。時々熊よけのコールを掛けながら7時15分に518m到着ここから藪が少しうるさくなってきた。(この場所から550mにかけて帰りの巻きで嵌ることになる)ゆるいアップダウンをこなして550mへ。ここから尾根は広がり藪も薄く登りやすくなる。 8時10分620m地形図上でいちばん尾根が広がり傾斜も緩やかな部分で登る方向も定めにくい。天候は回復に向かっているはずだが相変わらず風は強い。視界も頂上を見渡せる程ではない。積雪量は新雪5.6cmの下に締まった古い層。比較的登りやすい。 風を避けられそうな樹林の影で1本立てる。 最近行動食の重要性を改めて感じている。20代〜30代前半までは水とチョコレート、飴などを少し取るくらいで残りは酒の肴に変わっていたのだが最近は体力の衰えと回復力の衰えを強く感じるようになり行動中でも勤めて何でも口にするようになった。ザックのウエストベルトのポケットやウエアのポケットに多めに入れて行動中でも取り出して口に出来るようにしている。1本立てる時だけしか食べられないとエネルギーを取るタイミングを失う可能性もある。エネルギー不足から低体温状態となり行動不能に陥ることになる。自分だけでなくパーティー全体で行動食の重要性を共有することが肝要だと思う。 620mを過ぎ8時10分857m、樺が多く雪の繋がっている場所を選びながらの登りとなり右に行ったり左に行ったりなかなか大変。無視してスキーで樺を踏んでも行けなくはないが・・・ 950m辺りで大橋さん、横山、あゆ実はアイゼンに履き替える。皆はスキーで先行する。 相変わらず風は強く所々雪が飛ばされ硬くクラスとした雪面も出てきた。 10時30分1,155mを通過 先行する6人から距離にして100m位遅れ、体重の軽いあゆ実は強風に飛ばされそうになる。なんとか追いつこうとするも耐風姿勢を交えた進みではどうにもならず11時30分1,413mで横山2人は引き返すことにする。 トランシーバーで引き返す旨を連絡し来た道を引き返す。途中交信で6人の登頂を確認し風で消えたトレースをGPSのトラックバックで拾いながら下降を続ける。 13時50分620mの1本立てた所まで戻り皆を待つことにする。先の交信では滑走準備中とのこと。程なくして大橋さんも歩いて降りてくる。 最近のトランシーバーの使用方法は常にオープン状態ですぐに連絡できる。昔は時間を決めて交信していたが大分使い方も変わってきた。 佐々木Lと合流後4人そろって下降開始。他のメンバーはもう少し下まで降りたとの事。やはりスキーでの滑走は早い。 620m〜540mは雪質、傾斜も程よく樹林の中を登りのトレースを基本に各自好きな所を滑る。天候も良くなり一番楽しかった。 540m〜518mにかけては登り返しがありそこを十二線川側に巻くことになったのだが、もの凄い藪との格闘になった。スキーを履いての藪こぎは前にも進めず下にも行けず登りのトレースにも戻れなくなり堪らずスキーを脱ぎ十二線川沿いの林道目指して降りることにする。結局14時から巻き始め林道に着いたのだ16時、2時間の格闘であった。 林道からはスノーシュの登山者のトレースがあり、ここから登る登山者もいるようだ。 しばらく沢沿いの林道を進み230m付近から林道を離れ小さな沢を何本か渡ると鹿避けのフェンスに到着。天候はすっかり回復し暑い。藪こぎで体はびしょ濡れだが天候が回復して助かった。最後の畑の滑走を楽しみ17時に駐車場所に到着。 行動時間12時間の山行であった。

我々の後を追ってきていた70代位の単独の方はまだ下山していないようで心配になり、とりあえず車のナンバーと行動経過を警察に報告、その後車のナンバーから入山者が分かり下山も確認できたとの事。満喜与さん野田さん警察に報告お疲れ様でした。 今日女満別空港から帰る予定のあゆ実は飛行機の時間に間に合わず今日の便をキャンセルして2日の便に変更した。 今日の宿泊地である丸瀬布まで約2時間半で到着。疲れた体での運転、野田さん、佐藤さんお疲れ様でした。 汗を流し美味しい夕食と酒が体に染込む最高の1日であった。

5/2(火)晴れ
6時起床
本日の行動予定はチトカニウシ、丸瀬布から40分ほどで入山できるので7時に宿の朝食を頂、8時に出発。丸瀬布ICから奥白滝ICで下車、入山口の北見峠に8時半に到着。ここで皆と別れ私とあゆ実は佐藤さんの車を借りて女満別空港へ。あゆ実と空港で別れ13時半に北見峠に着いた時にはすでに全員下山して駐車場に揃っていた。11時半頃に頂上に着いたらしい。肝心の滑りは雪が最悪で楽しめなかったとの事。お疲れ様でした。 宿に戻り風呂に入り早めの乾杯。宿の夕食をいただき明日の天塩に向けて早めの就寝。
【記 小柳さん】 以下概念図です。完璧ではありませんが。


5月2日(月)チトカニウシ岳(1,445m)
北見峠8:40―950mピーク付近9:10―山頂11:40−林道合流12:48−北見峠13:05

 本日は行動4日目(実際には天候により1日中止で3日目となる)。チトカニウシ岳は行動時間が手頃で、疲れがたまりつつあるOB面々にとってはありがたい行動計画だ。昨日の海別岳の疲れは残っているが、天気も快晴で昨日とはうって変って楽しい山行となるに違いないと思っていたのだが。  全員で丸瀬布の宿越後屋を出発し、旭川紋別自動車道(無料)の丸瀬布から乗り、奥白滝ICで降りて北見峠を目指す。宿から1時間程度で到着。北見峠で我々を下した横山夫妻は女満別空港へ。昨日帰郷できなかったあゆ実さんを女満別空港まで送るため、横山さんは残念ながら本日不参加。ここであゆ実さんともお別れ。横山さんが北見峠に戻るころには私たちは下山していることだろう。  峠では登山道側にある広い駐車場で準備をする。出発地から山頂が見え、たっぷり雪をのせた尾根や頂上直下の谷へのラインが魅力的。昨日降った季節外れの新雪があるが今日は急な気温上昇になるようで、山頂到着頃までに雪がゆるみませんようにと期待しつつ出発。  木立もまばらでなだらかな斜面をゆっくりとシールで登る。すぐに小さなピークが2つでてくるが、いずれもまかずにピークを越えて行く。その後も広い尾根を登って行く。大きく切れたようにも見えるシュカブラをさけて3時間弱で山頂に到着。山頂は360度の素晴らしい展望で遠く旭岳まで見えて、明日行く天塩岳も大きく見える。みんなで記念写真撮影後、期待の滑降の始まり、はじまり〜。  途中野田さんらが魅力的な山頂から谷へのラインを確認しに谷へ。戻って来るには相当の労力が必要なことがわかり、山頂から谷側斜面を使いつつ尾根筋を滑ることに。雪たっぷりで少し重いがいい感じ〜キャッホーと思ったらスキーが雪に突き刺さり転倒。雪質が変わったところに突き刺さった。下ってくるとますます重たい雪に。斜度があって体は先行するがスキー面の足元が着いてこないという怖い状況の雪を、ストップスノーというらしい。すごく疲れるし、転ぶと思い雪で起きるのにもっと疲れる。朝の期待は全くはずれ、なんとか木にぶち当たらぬように降りていく。933m付近からピークを右に巻き、じきに林道にでてあっという間に北見峠に到着。すぐに横山さんとも合流。今日の残念は明日の天塩岳でとまた期待を膨らませる。

5/3(水)曇りのち晴れ
3時起床
本日の行動予定は天塩岳 宿の女将さんに無理を言って朝食用のおにぎりを頼んでおいたので各自持って4時出発。 おにぎりはおかず付きでお弁当のようだ。女将さん有難うございました。 入山口の駐車スペースには5時15分到着。 今日も先行者、トレースなし(古いトレース有)5時半出発。(557m)渚滑川右岸に付けられた林道を進み天塩岳登山口の標識を左に入り5時半に約585mで1回目の渡渉。佐々木さん大橋さんはブーツのまま渡っていく(え!)他のメンバーは素足になり渡渉。足がしびれた。 緩やかな登山道(林道)を進み、6時半 約620mで2回目の渡渉。野田さんのアドバイスどおり丸太が掛かっていた。野田さんはスキーのまま渡っていくが見ていて怖い。佐々木さんはスキーを脱いで跨いで渡り私はスキーを脱ぎ念のためアイゼンを付けて渡った。

少し上流を満喜与さん小柳さん佐藤さんは素足で、大橋さんはブーツのまま渡渉する。 尾根取付き(660m)に7時到着、ここから1,218mにあがる高差約560mが登りの核心であった。

急登に消耗させられる登りを終え10時10分1,218mに到着、天塩が大きく見えてくる。緩やかな尾根からプラトー状の広い尾根は今までのキツイ登りを癒してくれる。今日は風が強いとの予報であったが思いのほか穏やかだ。 しばらく平坦な尾根を辿り、11時00分1,250mからの登りの前に1本立てる。ここから頂上より滑るラインが良く見えるが、かなりの急傾斜、はたして無事に滑ることが出来るだろうかと少々不安になる。 1,250mから稜線の1,460mまでの登りは天塩を見ながらゆっくり登る。下の急登でかなり体力を消耗しているのでペースは上がらないが時間的には良いペースで登っていると思う。 頂上の肩1,460mに11時30分に到着。1本立ていよいよ最後の登り。

12時45分1,557mの頂上に到着。さすがに風は強く頂上から北に180m進み10m位高度を落とした辺りに移動する。ここがドロップポイントだ。覗き込むと凄い傾斜で本当にここから滑るの!という感じでかなり緊張してきた。皆はそれほどでもない様で粛々と滑走準備をしている。 まずは野田さんが斜面の様子と雪の状態の確認しにドロップ。危惧していた急傾斜を避けブッシュとのコンタクト目指して進みブッシュを横断して行く。その後を次々と降りてゆく。ブッシュの横断地点に何とかたどり着いて下を見るが急に落ち込んでいて先が見えない。皆よくこの傾斜を降りて行ったなと思いながら斜滑降でずるずると降りてみる。まだ急傾斜だが少し先が見えてきて所で思い切って突っ込んでみる。何とかターンをして斜滑降から大回りでターン。転びながらも皆のいる所まで降りて来ることが出来た。

 雪質も上々で傾斜も申し分なし!(私には急すぎたが)広大な斜面を次々と滑って行く。 なるべく古い雪面を滑ると快適でよく滑る。新雪で綺麗な斜面はブレーキがかかりつんのめりそうになるのを注意しながら13時20分あっという間に一の沢の合流点についてしまう。谷底は好天もあり暑く雪も腐りだしてきたが幸いまだ滑る雪で助かる。  ここからしばらく沢を忠実に下り丸太橋の渡渉ポイント辺りに14時30分に到着。気温が高く朝より水量が増えている。ここまでの先導してくれた野田さんナイスルートファインディングでした。  途中小柳さんが沢に嵌るハプニングなどあったが最初の渡渉ポイントには15時10分に到着、水量も増えてさてどうしたものかと少々思案して1人が堰堤上を素足で渡渉して板、ブーツを対岸に放り投げる作戦とブーツを履いて渡ってしまう作戦に分かれた。  無事全員渡りきり緩やかな登りから最後の滑りを楽しみながら15時40分駐車スペースに到着。道東ツアー最後の天塩岳を終了した。  前半は低気圧の通過による悪天などでGWとは思えない風雪の中の山行であったが最後の天塩で良い滑走ができ、道東ツアーを〆ることが出来て大変満足なGWであった。野田さん、佐藤さん大変お世話になりました。 また北海道の美味しい海産物、酒に舌鼓を打ち病みつきになること間違いないと思う。早くも来年も北海道かなと思う今日この頃である。