昼闇山、火打山
2012年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
メンバー:横山
日程:2012年4月28日(木)〜30日(土)
昼闇山 (1,841m)
期日 平成24年4月28日(土) 晴れ
昼闇山は頚城の山で噴煙をあげる焼山の北西に位置する山だ。標高は2,000mに満たないが豪雪地帯に位置するだけに春でも豊富な残雪を誇る。

4月27日21時に八王子を出発、中央道を豊科で降り白馬、小谷経由でベースとなる焼山温泉に2時40分着。今宵の泊り場は温泉を少し上がった道路の路肩。近くにテント1張り泊っていた。こちらは一人なので車中泊とする。寝酒を飲み3時半に仮眠、毎度のことだがすぐに寝ることが出来ないのはどうしてだろう?

4月28日
 5時ごろ起床目覚めは良い。今回も初めての場所なのでまず周辺の様子とアプローチの確認のため周辺をうろつく。焼山温泉から続く林道は田圃が終わる所まで除雪されていて、温泉裏の旧スキー場にも豊富に雪がある。 桜が満開で雪とのコラボがとても綺麗だ。

焼山温泉に駐車をお願いして6時20分出発、天気も良い。除雪終点に車が二台、途中に2台と計4台駐車していた。林道に駐車は可能ではあるがなぜが気が引けて温泉の駐車場からのスタートとなった。シートラーゲンしてのんびり林道を歩く。スキー場をシール登高してもよいのだがなぜか林道を歩く。除雪終点からシール登高開始、途中で単独の登山者に抜かれる。雪が締まっているし先行者のかすかなトレイルもあるので現在位置の確認などせずにのんびりだ。日帰りで頂上からの滑走予定なので『荷物は軽く』なのだが、スコップ、プローブ、ツェルト、クトー、シーバー、その他でなんだかんだ結構ある。もう少し軽量化したいがこればかりは外せない物なのでどうしようもない。 皆はどうしているのだろう?約1時間で橋に到着。もう少し雪が多いと思っていたが例年通りといったところか?去年は春遅くに大雪が降ったので去年ほどではないらしい。シール登高だがどうしてもペースが上がり気味になるらしい。つぼ足にしろスノーシュにしろ踏み出す1歩が自分にあった歩幅なのに対しシール登高の場合、1歩がそれに比べて大きくて滑らせられるのでかなり効率が良い。よってペースが上がりやすい。早く歩けて良いのだが逆に汗びっしょり、息があがり結局休む時間が多くなる。これもスキーモードでの歩きに慣れていないと言う事なのだろう。まもなくアマナ平の杉林に到着、林道が通って無ければ迷いやすそうな場所。今回も中島先輩に譲っていただいたGPSを携帯しているので時折現在位置の確認をする。とても安心。アマナ平らから昼闇谷の渡渉ポイントに上がり谷に下りる。が、派手に転倒。谷は雪に埋まり右の斜面からのデブリや落石がみうけられるが特に問題なし。先行の登山者のトレースは早めに右の尾根に逃げているがそのまま谷を詰める。

とにかく暑い、天気もここまで良いのも考えものだ、などと思いながらひたすら登る。だんだん谷が開けてきて全貌がやっと見渡せるようになる辺りで右の小高い丘を越えて尾根に取り付く。尾根に取り付くと斜面も急になり時折というか頻繁に滑り落ちる。いっそのことシートラーゲンでつぼ足にしようかと何度も思うがなんとか我慢。この登りで非常に消耗する。すでに水も飲みつくし飴玉を舐めながら渇きを癒す。この時点で頂上は諦めた。頂上周辺は雪庇が崩壊しているし、所々クラックも入っている。自分の滑走技術、体力、気力、単独山行など考えると無理は出来ない。もうここから滑ろうかと何度か思ったが頂上稜線までふらふらしながらたどり着く。実に6時間の登り本当にしんどかった。足にも力が入らずこんな状態で本当に滑れるの?稜線の右端で大休止。 頂上までは後1時間位か?期待していた展望は…残念ながら焼山北面台地は望めなかった。やはり頂上に行かないと見えないらしい。大休止後いよいよ楽しみの滑走だ。バインを外し板を2本を1本にする。シールを外しセット終了。ドロップポイントは初め急だがすぐに気持ちの良い斜面になるだろう。一箇所開いている所があったのを記憶していた。

準備完了。
出だしは急だがすぐに良い傾斜に。
手前の斜面から木立の左を抜けてメインのバーンに滑り込む。雪はザラメで滑りやすく板もよく滑った。開いた場所を慎重に飛び越え振り返ると結構な傾斜でちょっと満足。かなり疲れていたので心配だったが大丈夫なようだ。
もう少し時期が早ければ頂上から広大なバーンに滑り込めただろう。3月から4月上旬の安定した時期にまた来よう。 ベースとなる焼山温泉やアプローチも分かったので次回が楽しみだ。 東京から頚城の山は遠いが良い山が多いのでお勧めのエリアだ。
振り返る。

このバーンに滑り込む。

登り6時間滑り1時間のハードな山行でした。 駐車場に着いたときは体が痙攣していた。呼吸もいつまでたっても荒いままで次の日に予定していた焼山北面台地は中止にして休養。 笹ヶ峰〜火打に向けて移動しました。
以上


火打山 (2,462m)
期日 平成24年4月30日(月) 晴れのち曇り時々雷のち晴れ
メンバー 横山 他1名
今年のGWは昼闇、焼山、火打と三本継続しようと計画したが昼闇で疲労困憊し焼山は休養日にしてしまった。連休前半は天候も良く春山を満喫出来そうであったが日ごろのトレーニング不足がたたり本命に近い焼山北面台地に入れず少々残念である。

焼山北面台地遠望  火打山頂上より
29日の休養日は日本海の新鮮な海産物に舌鼓を打ち、温泉に浸かって疲れを癒し万全の体調でベースである笹ヶ峰に日が傾きつつある頃に入った。 街で酒をたんまり買い込み一人宴会に突入。夕食と酒の肴を兼ねた夕食を作ろうと水を汲みに行くがどこにも無い。トイレ、売店といってみるが水道の蛇口はひらかれたままで一滴も出てこない。仕方なく沢に下りてみるが雪代が入り濁っている。とても飲めた物ではないのでトイレの屋根から落ちた綺麗な雪で水作り。約6リットル作る。燃料と容器を多めに持ってきていて良かった。 標高も高く寒いので19時頃には宴会第一弾は終了。ちなみに携帯も圏外だ。
仮眠から起きると22時であった。コンロを焚いて暖を取りまた飲み始める。 しばらくすると車が1台入ってきてこちらに近づいてくる。見ると友人のI氏だ。車内に招きいれ宴会第二段の開始。 夜も更け1時ごろお開きにして就寝。
4月30日
 5時起床目覚めも良い。昨日降りてきた人の話だと天候は下り坂とのこと、確かに雲も多く不安定に見える。朝食をとり身支度を整えて出発。 計画では高谷池ヒュッテをベースに火打周辺で遊ぶ予定であったが、天候を考慮し日帰りとする。 この時は日帰りなので気楽に考えていたのだが…

登山口の東や  大雪で柱が歪んでいて危険の張り紙あり
7時に出発。登山口からシール登高、いたるところにつぼ足の跡、スキーの跡があり方角だけ確認して歩き出す。 しばらく快適に歩くと黒沢にかかる橋に到着、約30分。ここで早めの小休止。
小休止後行動開始、今日も初めての場所なので通常ルートから十二曲がり経由富士見平のルートとする。 雪が多ければ黒沢をそのまま詰められるらしい。
快適に速いペースで歩いていたら十二曲がりに上がるルートを外れて沢を詰めるルートを取ってしまい少々大変だった。
無事十二曲がりのルートに合流後富士見平をめざす。 十二曲がりルートに合流した場所で小休止、ここまで約3時間。1時間のオーバーだった。
傾斜も緩くなり快適に歩くが今日も暑い。時折登山者やスキーヤー、ボーダーが降りてくる。 さすがに人気の山だけあって後ろからもどんどん後続が登ってくる。追いつき追い越されながらやっと富士見平らへ。

10時50分富士見平着。  正面は黒沢岳 この斜面も良さそうだ。スキーヤーが4人降りてきていた。 富士見平からは黒沢岳を巻くように長いトラバース、シール登高に慣れていない私には辛いところだった。 左の斜面に思わず滑り込みたくなるのを我慢して高谷池ヒュッテに到着。小屋の外には10人くらい休んでいた。ほとんど昨日上がった人達で一滑りした後の満足そうな顔であった。 11時30分小屋着。

富士見平ら辺りで雷が鳴り、小屋についてからも戸隠方面で雷鳴が轟き、これから火打に上がるのを躊躇うほどであったが落ち着いたようなので出発することにする。 頂上までは2時間といったところか?
12時ちょっと前に小屋を出発、天候しだいでは小屋泊も有りか?などと考えもしたが予約制なので宿泊の可否はさだかではない。聞くだけでもすれば良かったが… 小屋前から開けた雪面を火打を目指す。 小高い丘を越え天狗の庭へ、だだっ広い雪原は視界が悪いときは迷いやすそうで注意が必要だろう。 1時間ほどで頂上直下の肩に着くことが出来た。
妙高山と三田原山 肩にた1本たて振り返ると後続もちらほら見える。富士見平から一緒だった単独のテレマーカー、親子のスキーヤー。親子と話すと鍋倉谷を下りる予定とのこと。テレマーカーは小屋泊らしい。 標高が上がるにつれてシールの利きも良くなる。 天候も心配したほどでもなく目指す頂上も目の前。 ピーカンよりもこの位の曇り具合の方が雪も腐らず良い加減だ。 最近ピークを踏むことが少なくなっているので久しぶりに興奮してくる。
そして登頂!

登山開始から約7時間でした。 頂上からの展望を楽しみ、滑走準備。 当初は影火打まで行って惣兵ェ落谷の予定であったが予定変更し頂上より鍋倉に変更。 テレマーカー、親子、と写真を撮りあい時間も押しているのでさっそく滑降に移る。 はっきりいって自信がない、足腰に力が入りそうに無い。 写真では元気そうだが本当はヘロヘロだった。
頂上から天狗の庭方面に滑り込む。出だしは急で様子を見ながら、右により過ぎると切れているので要注意。

すばらしい斜面!雪もザラメで最高!どこでも滑れる! I氏はここから天狗の庭方面の広大な一枚バーンへ、私はこのまま真っ直ぐ尾根上の斜面へ! 降りるのが勿体ないような楽しい滑走! きつい登りが報われる。

ここが予定していたルート。 頂上ルートからは台地の登り返しがあったが、影火打ルートはここまでダイレクトに降りてこられる。 こちらもすばらしい斜面だ。
楽しかった滑降も佳境、最後の詰めは体力の消耗する林道までの長い樹林が待っていた。 ときに背負ったり滑ったり、沢に落ちそうになったり大変であった。 最後はスキーモードでシールを張りやっとたどり着いた林道では果てていた。
林道を1時間かけて駐車場に着いたのは17時を過ぎていた。
12時間行動で疲れきった身体を杉の沢温泉、苗名の湯で癒し今度は腹を満たそうと赤倉の温泉街まで移動した。 すでに20時近く店も開いているところも少なかったが柴田食堂がやっていたのでそこで腹を満たし、ついでに素泊まりの宿も紹介してもらう。これは中りであった。 このまま帰っていたら居眠り運転で事故を起こしていたことだろう。
宿は通常宿泊メインでやっているようで部屋も非常に綺麗で対応も良く満足のいく宿である。 温泉街で地酒を買い今回の山行を振り返りながら飲む酒は最高であった。
おわり