不帰岳3峰A尾根、B尾根
2010年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
日程:2010年5月2日〜5日

メンバー:牛山、結城、他1名(塩飽)

1日:牛山車で22時つくば発、元八王子バス停で結城さんを拾い、白馬村八方尾根スキー場の無料駐車場泊

2日:天気晴れ。
8時半〜9時頃八方尾根スキー場ゴンドラ乗り場
10時 八方池山荘
13時 唐松山荘天場

八方尾根スキー場ゴンドラは長蛇の列。30分くらい待ってようやく乗る。さらにリフト2本乗り継いで、八方池山荘まで。そこから3時間歩いて唐松山荘着。横の天場でテントを張る。


不帰3峰、右からA尾根、B尾根、C尾根。

3日:天気晴れ。
4時起床、5時35分発
6時45分 3峰A尾根取り付き、登攀開始
13時 3峰A尾根のピーク、登攀終了
14時 テント

完全に明るくなった5時半過ぎに出発。唐松山荘と唐松岳のコルから唐松沢に下る。傾斜はけっこうありそうに見えるが、雪はやわらかく前向きに下りても問題なし。時々尻セード。唐松沢を登り返して、A尾根とB尾根の間のルンゼを登り、チャレンジアルパインクライミングの図の通りの場所からA尾根に取り付く。雪はやわらかく、シュルンドが開き気味で注意しながら登る。最初は岩混じりの草付きブッシュの斜面を登り、その後雪稜が続く。ずっとロープを出して進むと、50mはすぐに終わってしまい、何度もピッチを切る。5ピッチ目くらいで凹角の岩場に達し、あぶみを出して登る。ここは、ピンもしっかりしていて間隔も狭く、快適に登れた。このあたりで2峰と3峰との間の稜線より高くなる。さらに2ピッチで雪稜を左から回り込み、ハーケン連打の岩場から右に回り込んで尾根を越えると、ピークに出た。
この日C尾根を登っているパーティが見えた。

唐松沢に降りた後、A尾根を目指して登る。


下から見た、右からA尾根、B尾根、C尾根。


たぶん2ピッチ目。

4日 朝はガス、沢を下りたら雲底下に出た。午後にかけて徐々に晴れてきた。
3時起床 5時35分発
6時50分 3峰B尾根取り付き、登攀開始
12時 登攀終了
13時 テント

3日と同じ時刻にテントを出る。3日と比べてさらに気温が高く、沢に降りる雪面もさらにやわらかくなっていた。3日同じルンゼを登り、同じくらいの高さからB尾根に取り付く。最初凹角からアイスクライミングを交えてダケカンバをつかみ、ブッシュ伝いに右にトラバースして、急な雪壁を登って尾根に上がるとトレースに合流した。思ったより急な雪壁で厳しかった。さらに上の3ピッチ目では、ぼろぼろの壁にわずかに残った氷にバイルをひっかけて登る場面もあり、悪かった。4ピッチ目を終わったところでトレースは左に大きく巻いて縦走路のあるコルに向かっていたが、その時点でまだ10時台だったので、忠実に尾根をたどり、さらに2ピッチでピークに達した。この日は、3日に比べてさらに気温が高く、雪もグサグサだった。シュルンドも開き気味だったし、クレバスも徐々に開いているようであまり良い気持ではなかった。時間は早かったが、かなり疲れたのでもう一泊して下りることにした。

5日 天気晴れ。
5時起床、6時30分発 八方池山荘8時 8時30分ゴンドラ乗り場
いい天気の中下り、八方池山荘のリフト乗り場に着いたら、あと10分でリフトが動くということで、いいタイミングで下りることができた。

感想:今回不帰を登っているたパーティは、自分たちの他には1パーティしか見なかった。B尾根にはトレースがあったので、我々よりも前に入ったものと思われるが、1峰2峰にはトレースもなかった。チャレンジアルパインクライミングにも「もっと登られてもいいように思う」と書かれていたが、アプローチも楽で取り付きやすく、ルートは1日で終わるので、全くその通りだと思う。しかし、白馬主稜や鹿島東尾根などに比べると、雪稜は細く、雪壁は急斜面で、草付きも悪い部分が多く、技術的には1段上かもしれない。それで、取り付くパーティが少ないのだろうか、などと考えてしまった。雪の状態は、気温が高かったせいか毎日どんどん融けていったようで、あと1日か2日遅かったら登れなかったかもしれない。しかし、充実の2日間でした。(記:牛山)