抜戸岳南尾根
2003年度山行報告 (C) 昭和山岳会(東京都山岳連盟)
2003年4月18日〜19日 
メンバー 牛山、久留島

17日23時八王子駅待ち合わせ、中央道をひた走り、松本ICで下り、安房トンネルを抜けて、 新穂高温泉午前3時着、車中で少し寝る。

18日 天気快晴、とても暖か

5時頃起き、準備した後車は、深山荘横の無料駐車場に置いて、6時45分出発 穴毛谷出会いまで30分、抜戸岳南尾根の末端付近8時、9時に穴毛谷三の沢出会い着、この 対面のルンゼを登る。時間がたつにつれて、周囲から雪崩の音がどんどん聞こえてくる。 ルンゼは雪で満たされているが、ずぼずぼ埋まって歩きにくい。ルンゼのかなり上のほうに いるとき、登っている真横を雪崩れていくが、スピードもゆっくりで規模も小さいので、 それほど危険は感じなかった。11時30分、穴毛槍のひとつ上のコルから尾根に出る。 景色もとてもよい。穴毛槍(P5)は、かなりやせていて通過に時間がかかりそうに見えた。 2248mのP7に13時30分頃到着、だだっ広い広場でたいへん景色もいい絶好の天場だ。風を さえぎるものもないけど。ここでテントを張る。景色を眺めて、外で水を作ったり、 昼寝したり。昨夜はほとんど寝ていなかったので、5時半には寝る。

19日 天気 早朝は晴れ、後曇り、10時以降はガスと雨

2時起床、3時50分暗い中をヘッドランプ点けて出発、P8はかなり細いナイフリッジで怖かった。 ここはザイルを出すべきだったかも。南壁の取り付き4時30分、左に50mのトラバースを始める。 実際には、50mで足りなくて2ピッチで左のルンゼに入る。この2ピッチ目で夜が明けた。 白樺の木から、久留島リードでルンゼを登る。フィックスロープもいくつか見えていた。 このピッチでは、ちょっと壁状になったところと、氷ついた部分を登る2箇所が難しかった。 本人曰くIV級くらいあったとのこと。2ピッチ目は、1箇所細いルンゼ状の部分があり、 つまった氷に乗って登っていたらその氷ごと崩れたため少し落ちてしまった。あとはどうと いうこともない斜面だった。この2ピッチで南壁は終了し、7時30分?に尾根に合流。8時頃 2472mのP9着、天気はだんだん悪くなり槍・穂高の頭が雲に隠れ始める。杓子平の右の尾根を たどり10時頃抜戸岳着。やや遅れて牛山が着いた瞬間、ピーク周辺はガスに覆われて視界が なくなり、雨も横殴りに降り始める。この天気では笠ヶ岳をまわって下山するのは難しそう ということで、抜戸岳東尾根を下りようということにする。抜戸岳の東側に張り出した雪庇の 奥に下りて降り口を探すが、ガスで視界は20mもなく全くわからない。雪庇を下りるところも とても怖かった。とりあえず、少し下りてみるがずっとかなりの急斜面が続き、どうも違うようだ。 まったくルートがわからないので、とりあえず抜戸岳に戻って、1本南側の境界尾根を下ること にする。境界尾根の下り口は、なんとか見つけることができた。あいかわらず視界の悪い中、 コンパスで方向を見ながら下りていくと、すぐ近くになって細い稜線が現れたりする、という 感じでとにかく下りる。雪はときどき非常に悪く、腰近くまで埋まるぐさぐさの腐った雪だ。 しかし、順調に下り、高度2000m付近や1900mのやせた部分では、雪稜が途切れたりするが、 1900m付近でようやく視界が利いて、秩父沢との出会いが見えた。出合い13時頃?。周辺はデブリ の山。デブリをいくつも越えて、左俣林道を進み、雨の中、新穂高温泉16時半着。
(記 牛山)

天場より、抜戸岳南壁

天場より、穂高連峰

南壁1ピッチ目を登る久留島